20160228

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ソーシャルメディア・コンテンツの意識化を促進する情報デザインの創出とオルタナティブメディアの実践

20160228 21:50


お世話になっております、D3原田真喜子です。

平成18年に同大学システムデザイン学部インダストリアルアートコースに入学し、早10年経ちました。 


卒業制作「Independence Archive of Bangladesh」
修士研究「Web集合知における特徴語抽出と感情メタデータ付与による概念体系の視覚化」 博士研究「ソーシャルメディア・コンテンツの意識化を促進する情報デザインの創出とオルタナティブメディアの実践」

 をテーマに掲げ、学んできました。 


情報社会と呼ばれる現在、私たちは「メディア(媒体)」を通して情報を獲得します。 日本国内において、やはり情報を統括するのはマスメディアでしょう。 しかし、ソーシャルメディアが普及した現在、このコンテンツからマスメディアでは網羅できないニッチな、しかし諸課題の本質を訴える情報を 見いだすことができます。 このように、マスメディアでは取り上げられないような情報を扱うメディアを「オルタナティブメディア」と呼びます。 つまりソーシャルメディアはオルタナティブメディアの側面を持つと考えられます。 


しかし、ソーシャルメディアの情報受発信を支援するWUIは、即時性・話題性を重視したうえ、ユーザ間のプライベートなコミュニケーションを支援するものとして設計されてきました。 さらに、そのWUIは定式化する傾向にあります。 この場合、ユーザのメディア・リテラシーの程度によっては、「マスメディアでは網羅できないニッチな、でも諸課題の本質を備える情報」を持つコンテンツが適切に伝達・理解されないことが懸念されます。 また、オルタナティブメディアの側面からソーシャルメディアを見た場合、特定少数のためのメディアとして理解されがちであったオルタナティブメディアに「一般市民の参加」を促すことが期待されています。


そこで、私はこの課題を補うために「ソーシャルメディア・コンテンツの意識化を促進する情報デザインの創出とオルタナティブメディアの実践」を研究テーマとして掲げました。


本研究では、ソーシャルメディア上の「つながり」と「集合知」について、これらの特性に影響を与える「ユーザの感性」に着目する情報デザインの創出・実践・公開・検証を通して、ソーシャルメディア・コンテンツの意識化にアプローチしました。
ここでは「足湯のつぶやきBOT」「Babeem」「コトバノキ」の3つのケーススタディを通して検討を行いました。 その結果、提案手法から情報拡散・多角的な情報理解と既存のWUIとは異なる語の知覚を支援する効果を確認することができ、オルタナティブメディアとしてソーシャルメディア・コンテンツを扱うための一つのモデルを示すことができたと考察しました。 


本研究のアプローチによって、既存のメディアでは埋没していた、社会における多様な事象を人々に伝えることを支援することができます。 さらに、ソーシャルメディア・コンテンツを介してオルタナティブメディアに一般市民の参加を促すことが期待されます。 オルタナティブメディアとソーシャルメディアを架橋するコンテンツの利活用を促進する本研究の成果は、社会的課題を解決するための一つのメディアのあり方になりうると考えます。


 さて、私は上記の研究に取り組みつつ3人の子を出産・育児してきました。 「大変でしょう?」と問われることも多いのですが、正直「大変でした」。 しかし、この大変さはあくまで自身のキャパシティに由来するものであり、「学生だから」「育児中だから」といったことではありません。 というのも、大学・地元・友人知人家族の優しいサポートに恵まれていたので、このキャパシティを十二分に補うことができました。

10年の学生生活のうち、5年間は子供がいました。うち2年間は大学に0歳の子供と一緒に通いました。


指導教官である渡邉先生は、子供の関係で欠席しがちだったり、研究室に子連れで行くことを快諾してくださいました。また、研究のみならず、研究者としての姿勢や人間的な品行についても多用な指南をいただきました。
研究室では、ゼミ生が子供をあやしてくれました。また、泣いても嫌な顔一つせず付き合ってくれました。
他研究室の先生方は、キャンパスでお会いするたびに声をかけ、励ましてくださいました。
大学事務の方も、子供を抱えながらギリギリな書類提出ばかりで、郵送手続きを多用しましたが、いつも真摯に接してくださいました。
授乳室が欲しいと相談したらすぐに手配をしてくれました。
生協の方は、「赤ちゃん元気?」と顔を覚えて、声をかけてくれました。重たい荷物を購入した時は、運ぶのを手伝ったりしてくださいました。
学会やコンペでお会いした方々も、不安定な研究生活を応援してくださいました。
研究のためにAPIを使用するときは、APIのみならず研究についてまでアドバイスをいただきました。
地元の友人知人は、忙しい時に子供を預かって遊んでくれました。
旦那さん・両親・義両親は、学生であることを許してくれた上に学会や発表のときに子供を見てくれました。 


今回、学位審査を無事に通過できたのも、(ここには書ききれませんが)これまで助けてくださった皆様のおかげと感謝しています。


 今、研究者としてのスタートラインに立つことができたと思っています。 今後も研究者として、デザイナーとして、エンジニアとして、アーティストとして、自身の興味関心の赴くままに活動していきたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。


 最後にネットワーク研後輩たちへ


本当に色々とお世話になりました。わがまま放題でご迷惑をおかけしました。
 1期〜7期までのゼミ生と一緒に研究生活を送ることができました。一緒に学ぶことができて幸せです。 

来年度以降のゼミ生は、楽しく研究を遂行してください。 ネットワーク研は、テーマが自由です。いい意味でやりたい放題です。でも、決めたテーマについてどのようにアプローチするのか、スケジュールを立てるか、研究の進捗報告などについてはシビアです。頑張って下さい。あと、卒業制作に取り掛かると体調を壊す人が多くなります。どうか体調管理に気をつけて下さい。困った時は、研究室のお姉さんに相談するといいと思います。美味しそうな匂いのものを提供してくれると思います。 個人的な感想ですが、最近はネットワーク研の色がまとまってきていると思っています。うれしいことです。 でも誰か、明後日な方向の研究課題を実践してみてください。楽しみにしています。

20160217

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ウェザーニューズにて卒業・修了制作展紹介



ウェザーニューズ「SOliVE24 ch」にて,卒業・修了制作展「mix juice展」が紹介されました.キャスターの宇野沢達也さんがご来場され,その翌日に放映されたものです.10分を超える時間を割いて,詳細にご説明いただいています.本当にありがとうございます!

20160211

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「押韻」の歴史的変遷と現代における「ライミング」活用の架橋


こんにちは、修士2年の岸岡信伍です。
今回は、修士研究の紹介をさせていただきます。

みなさんは「ライミング」という言葉はご存知でしょうか?
あまり身近な言葉ではないかもしれません。
では、「押韻」という言葉はどうでしょう?
「押韻」は「ライミング」を日本語にしたものとされていますがこちらもピンと来ないかもしれません。
一応みなさんは「押韻」を学校教育で漢詩の勉強をするときに一度習っているはずです。
偶数句末で同じ音の漢字が置かれるだとかそういうものです。
「押韻」は“詩歌などで,同一または類似の音韻をもった語を一定の箇所に用いること.韻を踏むこと”とされており漢詩だと「深(しん)」「心(しん)」「金(きん)」「簪(しん)」のような(in)の音で共通するものが韻だということになります。
日本語の場合は
 ・おとな(ooa)
 ・ことば(ooa)
と、(ooa)の母音が共通しているこれらの言葉が韻であり、韻を繰り返し用いることが韻を踏む「押韻」ということになります。
学校で扱う「押韻」が漢詩のみであることからも、韻を踏むという表現は日本の文学ではあまり活用されず顕著な発展をみせていません。
一方、欧米言語で「ライミング」はシェイクスピアの時代にはすでに確立されており、現在の活用の幅は文学だけでなく歌謡曲、童謡、さらに教育とかなり広いものになっています。
ところが、1980年代にヒップホップミュージックが輸入した後、ラップで韻を踏むことを「ライミング」とし、日本語での韻表現は発展していきます。そして現在の日本語ラップでは韻を踏むことは当たり前になっています。
私の研究の目的は、日本で定着しなかった「押韻」と、日本語ラップで当たり前に活用されるようになった「ライミング」を結びつけて論じることです。

このブログでは論文の構成についてざっくり説明させていただきます。
図 論文の構成

 第2章では、九鬼周造氏の「日本詩の押韻」を主な関連資料としてヒップホップミュージック輸入以前の文学における日本の「押韻」の変遷を辿り、「押韻」を再解釈しました。日本で「押韻」は定着しませんでしたが、文学で活用するための試みは何度かされていきました。「日本詩の押韻」では、日本の「押韻」の歴史的事例と欧米言語の韻表現の事例から、日本語詩における「押韻」発達の可能性と採用のための考慮について論じられています。

 第3章では、「押韻」の再解釈から、ヒップホップミュージック輸入後の「ライミング」発展の変遷を読み解き、従来の「押韻」と日本語ラップにおける「ライミング」の架橋を試みました。九鬼氏の「押韻」の解釈を日本語ラップの「ライミング」の変遷に当てはめることで、日本語での韻を踏むことの共通点、また「押韻」に対する「ライミング」の発達における有利な点を得ることができました。
 第4章では、欧米言語、特に英語におけるライミングの事例をサーベイし日本語での「ライミング」を明らかにしました。これにより、文化の違いや言葉の性質の違いによる「ライミング」への影響を示すことができました。

ここまでで

・日本語の「押韻」の歴史的変遷の整理
・欧米言語におけるライミングのサーベイ

以上2つのアプローチにより研究目的(日本語における「押韻」の歴史的な変遷・現状と,現代の 日本語ラップにおける「ライミング」のありかたを架橋すること)を達成することができました。第5章では、さらに、「ライミング」に対する一般的な実情を捉えるために基礎調査を行い、第6章ではここまでの結果を踏まえ、「押韻」と同義とされている「ライミング」の再定義を行いました。

 今まで文学で定着しなかった「押韻」と、日本語ラップで発達した「ライミング」を結びつけて体系的に論じられる研究はされてきませんでした。本研究は韻を踏む表現を獲得した「ライミング」について論じたもので、今後の日本語表現拡張の一助になると考えられます。
また、みなさんにとって馴染みのない「ライミング」というものを再定義することで、「ライミング」の鑑賞、制作を助ける客観的価値を共有することができたと考えられます。

 私の研究は参照している事例も多く検証の一つ一つをブログで紹介することは難しいのですが、2/12~15まで行われるネットワークデザインスタジオ卒業・修了制作展2016に可能な限り在駐するつもりですので興味のある方は話しかけてください。お話しましょう。
ご来場よろしくお願いします。




最後に私は2009年に首都大学東京のインダストリアルコースに入学し、今年大学院を卒業するので、大分長い期間在籍していたことになります。特にネットワークデザインスタジオにはお世話になり、

ナガサキ・アーカイブ
沖縄平和学習アーカイブ
START ON AIR!
アチェ津波アーカイブ
佐賀・肝炎マッピング

と多くの活動携わり、様々な経験を得ることが出来ました。
ネットワークデザインスタジオではインターネットの力で人を動かすこと、もっと根本的には人と人とのつながりで社会に影響を持てることを一貫して学ぶことができました。
卒業後は、インターネットのお仕事をすることになっています。ネットワークデザインスタジオの経験が活かされる職場だと思います。
今まで、真摯にご指導していただいた渡邉先生、プロジェクトを共にした仲間にこの場を借りて感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

以上!したっっっっっっ!!!!!

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少数民族の情報を発信するためのウェブデザイン・アクティビティの実践

少数民族の情報を発信するためのウェブデザイン・アクティビティの実践
こんにちは!
新疆ウイグル自治区ウイグル族出身のM2のグリズバ・パリハティです。
これから私の研究について説明させていただこうと思います。
わたしの研究テーマは「少数民族の情報を発信するためのウェブデザイン・アクティビティの実践」です。
皆さん、ウイグルってご存知ですか?
たぶん知らないと思います!涙


 本研究の目的は,少数民族の情報を世界に発信することです。
特に,国際情勢等の情報とくらべて埋もれがちな「少数民族の文化」についての情報を,人々に伝えることを主眼に置きます。
そして筆者自身が,少数民族のひとつウイグル族の出身であることから,本研究ではウイグルの文化情報の発信をテーマとします。
 本研究ではアンケートによる人々の意識調査と,ウェブデザインの傾向についての調査を行い,ウイグルの文化情報発信についての現状を把握する.次いで,その結果に基づいて,以下のアクティビティを実践する.

l   デジタル地球儀を応用した作品展示
l   SNSでの情報発信
まず,ウイグルの文化についての理解度についてアンケート調査を実施した結果,ウイグルの文化情報が十分に伝わっていないことが分かりました。
その結果に基き,デジタル地球儀を応用してウイグルの文化情報である観光地と人々の姿を紹介する展示作品を制作し,展示を行った.鑑賞者の感想から,作品を通して,ウイグルの文化情報が伝わっていることが分かりました。



  作品「ようこそウイグルへ」

               観光地の写真のマッピンッグ
                  人々の姿

さらに,既存のウイグルに関するウェブサイトのデザインとコンテンツを分析した結果:
  • 「 動線が複雑で情報を探しにくい 
  •  写真が古くて解像度が低く,美観に乏しい
  • 文字数が多くて、コンテンツ読みづらい
  • 虚偽の情報が掲載されている
  •  写真と説明が一致しない 」の課題を見つけました。 

  
          
                      動線が複雑で情報を探しにくい 

         
                   写真が古くて解像度が低く,美観に乏しい

          
                   文字数が多くて、コンテンツ読みづらい

             
                 虚偽の情報が掲載されている 写真と説明が一致しない
                     (ウルムチではなく、カシュガル)
           
                 虚偽の情報が掲載されている 写真と説明が一致しない
                   (商店街ではなく、ウイグルダンスの様子)


 この結果を踏まえて,SNSFacebook)を活用し,信憑性が確認されている写真とテキストを中心して,ウイグルの文化情報を発信しました。
SNSでのシェアを通してコンテンツが伝播し,ユーザにウイグルの文化情報が伝わっていることが確認されました。

        
ウイグルウェディングの様子
公園で写真やんビデオ撮っています

        
  ウェディング夜レストランの様子
        
ウイグルの建築「大門」
        
             ユールッパ式な結婚式も流行っています
        

FACEBOOKページ「ようこそウイグルへ」
 ウイグルのダンス


                
こまでの活動を通して,事前の知識を持たない人々にウイグルの文化情報を伝えることができた.以上のことから,本研究の目的は達成されたと考えます。
本研究の成果は,ウイグル以外の,さまざまな少数民族の文化情報発信のための一助となり得ます。
2月12日より開催の学外展では私の作品以外にも、みんなの個性豊かな作品を展示いたします。
ご興味のある方はぜひお気軽にお立ち寄りください。会場にてお待ちしております。











20160210

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アニメーションするWebボタンがユーザに与える効果の検証

こんにちは.修士2年の五十嵐祐真です.
論文執筆,修論発表を終えまして,残りはネットワークデザインスタジオの展示を残すのみとなりました.


私は,修士課程に入ってからアニメーションするボタンが人に与える効果を明らかにする研究を行っていました.そこで今回は締めくくりとして,2年間でたどり着いた結論ではございますが,研究内容をまとめます.


研究タイトルは「Webボタンにおける3D・アニメーション表現の効果検証」です.


まず最初に背景を説明いたします.
Webサイトを作るとき,自分の感覚のみで作る人もいるかと思いますが,大抵の場合,何かを参考にして作るかと思います.

そのとき,制作する上でのガイドラインやノウハウはwebでも本でもたくさん調べることができます.

例えばレイアウト,配色,デザインの原則などは調べるとたくさんでてきます.
レイアウトを調べたところすぐに以下のような情報を得ることができました.


(出典 http://liginc.co.jp/designer/archives/6154)




次に,現在のWebサイトの数をみてください.
このグラフは,株式会社日本レポジトリサービスのデータより作りました.
青い線は教育機関・法人など組織が使用しているドメインで,赤い線は個人,団体であればいくつでも登録できるドメインです.横軸は年で,縦軸はドメイン数となっております.


ドメイン数の遷移


このことから,Webサイトの数は年々増加していることが読み取れます.
そしてこういう状況では,結論から言ってしまうと,Webサイトを差別化させるために,動的表現を用いられることが増えてきております.


これは,評価されているサイトを分析したことからわかりました.
ということで,簡潔ではありますが事例 調査のまとめをいたします.


分析したのはWebsite of the Yearから40件,Webグランプリから25件です.
Website of the Year(http://www.cssdesignawards.com/woty/は世界各国のWebサイトがノミネートされているコンペで,Webグランプリ(http://award.wab.ne.jp/)は日本の企業サイトのコンペになります.

分析したところ,アニメーションを多用した多くのサイトを見つけることができました.
背景,コンテンツの出現,ボタンやボタンホバーなどに動的表現が使用されています.


そして動的表現を使用する理由を考察したところ,

1,イメージを強く残し,記憶に定着させること
2,重要な情報なので目立たせている
3,読み飛ばされないようにする工夫

というように考えました.


研究報告に戻ります.
動的表現を上記のように考察しましたが,課題として,


どういう動きがどういう効果を持つか明らかになっていません.背景のどの動きにどんな印象を持ったのか,どういう風にコンテンツを出すと見やすくなるのか,そしてどんなボタンの動きがクリックされるのかなど,Webにおけるアニメーションの効果は不明なところが多いのが現状です.

これは,動的表現の使用に関してガイドラインやノウハウが見つからないところにも表れております.


HTML5が登場し,誰でもWebサイトにアニメーションが使えるようになりましたが,制作では,これらの表現を使うとなると,もっぱら制作者のヒューリスティックスに頼るしかありません.



そこで,研究目的をWebにおける3D・アニメーション表現が人に与える効果の解明することとし,ヒューリスティックスに依存しないWebサイト作りの補助を目指します.本研究ではアニメーションするボタンのクリック効果にしぼり,検証をいたしました.



長くなりましたが,ここまでが研究の前座となります.




ここから検証の話に移ります.
本研究では,2つの実験を行いました.
(1)クリック効果を持つ動的表現の検証
(2)パラメータ変化によるクリック効果操作の検証

実験フロー





まず実験(1)からお話しいたします.
実験(1)では以下のWebページを制作し,ユーザからボタンを1つ選んでもらいました.


これらのボタンは,調査したサイトで見られたアニメーションボタンと先行研究から注視することがわかっているボタンです.番号ごとに以下の表現となっております.

1,3D回転
2,点滅
3,拡大縮小
4,静止
5,2D回転
6,X軸移動

ちなみに静止ボタンは基準のために含めました.といいますのも普段押しているのは静止ボタンがほとんどだと思いますので,これよりクリックされたか,されなかったかがクリック効果の検証に使えると思ったからです.



これらから144名のユーザにボタンをクリックしてもらったところ結果は以下のようになりました.

クリック効果の傾向


拡大縮小が最もクリックされ.ついで2D回転がクリックされました.
静止ボタンを境に,拡大縮小と2D回転表現は高いクリック効果を持つといえ,3D回転,点滅,X軸移動はクリック効果が弱いことがわかりました.



次に,クリックしてはいないが印象に残ったボタンをアンケートより調査しましたのでそのグラフを載せます.


クリックはしなかったが印象に残った表現


横軸は,クリック効果の傾向のグラフと合わせてあります.
このグラフから,3D回転表現はクリック効果は低いですが,印象に残せることがわかりました.ということでクリックを狙った表現としてではなく,注視表現として活用できると考えられます.


また,この2つのグラフから,印象に残る=クリック効果ではないことが考えられます.つまり,人の注意を引くことが,クリック効果を高めるのではなく,アニメーションがクリックできるものだと誘発するのです.


ということで,ボタンを選んだ理由を分析いたしました.
アンケート回答を質的分析し,それぞれの動きとまとめたものが以下になります.



以上のことから,実験1の結論を述べたいと思います.

1,クリック効果を狙う時は拡大縮小か2D回転が有効
2,注視効果を狙う時は拡大縮小か3D回転が有効だと考えられる
3,クリック効果は注視されることに加え,動きがボタンとして誘発するかどうかにも依ると考えられる





次に,実験(2)の「パラメータ変化によるクリック効果操作の検証」についてお話しします.

実験(2)ではユーザに対して以下のようなWebページでボタンを選んでもらいました.


拡大縮小と2D回転を並べ,どちらかをクリックしてもらう実験です.
この実験は,拡大縮小の倍率と2D回転の回転速度といった条件を変えたサイトを3つ作り,ユーザにはいずれか1つが表示されます.

そしてパラメータ変化によるクリック効果を検証いたします.

実験条件はこのようになっております.


実験1と比較して「弱」や「速」を表記しています.

これらの条件のボタンに対し,261名のユーザに実験を行ったところ以下のようになりました.


条件A(左),条件B(中),条件C(右)のクリック効果の傾向



条件A,Bでは,拡大・縮小ボタンをクリックする人数の方が2D回転ボタンをクリックする人数よりも多くなり,条件Cでは拡大・縮小ボタンをクリックする人数と2D回転ボタンをクリックする人数がほぼ同じになることがわかりました.


このことから,クリック効果はパラメータで調節できることが確認されました.


次にアンケート回答を分析し,パラメータとクリック効果に関することをまとめました.




拡大縮小ボタンは倍率を変えると,倍率が高いときは「一番拡大したタイミングに合わせて押したい」という理由が増え,倍率が低いと「押すイメージと動作が一致している」という理由が増えます.このことから.押したい理由が変わったとしてもクリック効果が高いということが考えられます.


2D回転ボタンは拡大縮小を選んだ消極的理由から考察いたしました.回転ボタンの速度が速いほど,拡大縮小を選ぶ理由に「回転は押しにくそう」,「回転=拒否だ」という意見が多くなります.しかし,回転を遅くするとこれらの意見が少なくなります.このことから回転は遅いほどクリック効果を高められることが考えられます.


実験2の結果をまとめます.

1,パラメータ変化でクリック効果の操作が可能
2,拡大縮小は,本研究の条件内ではパラメータを変化させても高いクリック効果を持つ
3,回転は遅くするとクリック効果が高くなる

これらのことが考えられます.



最後に本研究の結論です.
・実験で使った動きのみですが,ボタンに使用される動的表現がどのようにクリック効果を持つか明らかにしました.
・クリック効果を狙う時は拡大縮小か2D回転が有効であり,これらの動きはパラメータ変化で操作可能ということがわかりました.


これらの結果から,制作者のヒューリスティックスに依存しないWebサイト制作の一助となればと考えております.



簡潔に説明しましたところで,研究報告は以上となります.



自分としても,Webサイト制作での指針を作るつもりで検証しましたので,つぎは自分自身がこれらの結果を使ってWebコンテンツが作れたらなと考えております.




最後の最後に,

みなさま,ぜひネットワークデザインスタジオの展示に来ていただけたらと思います.
よろしくお願いいたします.


ありがとうございました.





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公的データを用いた被災地復旧の経年変化の可視化

こんにちは、B4の菊池月子です。

展示内容紹介ブログも終盤に近づいて来ました。

私で学部生の投稿は最後です。次以降は修士のみなさんによる紹介になります。
12日まで引き続きよろしくお願いします。


私は、
公的データを用いた被災地復旧の経年変化の可視化手法について研究しました。

この研究を始めようと思ったきっかけは、
ハンス・ロスリングのTEDtalkを見たことでした。

この映像の中で、彼は壇上から3択問題を投げかけます。
世界の貧富の差や、健康福祉の格差の現状についての問題です。

会場の人々は、
ほとんどの問題で選択肢の中から
もっとも状況を悪く描写したものを選びます。

しかし、その問題の正解(=現状)は、
もっとも状況を良く描写したものでした。


これを受けて、
ハンス・ロスリングは
「世界の貧富の差や健康福祉の格差に関して、
 多くの人々は世の中のことを現実よりも悪い状況に捉えている。」
「最悪のところを基準に考えていて、多数派を見落としている。」
と言います。

私も、会場にいる 人々と同じ選択肢を選び、
彼が指摘するような思い違い・勘違いをしていました。


私はこの体験を通して、

私たちが今まで
格差の是正や支援を喚起する手法 として 
格差の程度や支援が行き届いてない事柄を強調することで
人々に強く認識させ問題意識を持たせるという手法 をとってきたため、
悪い側面に関する情報ばかりが強く記憶に刻まれ、
現状を正しく把握出来なくなってしまったのではないかと考えました。

この気づきから、
私たちにとって一番身近である東日本大震災復興支援に関して
正しい理解を促す、現状を伝える手法について研究しました。

正しい理解を促すために、
・未整理のデータを
 経年変化が分かるようにまとめる
・今までの側面と
 対になるポジティブな側面にも目が行くようにする
この二点を実現させるコンテンツを制作しました。

データは、
復興庁「復興の現状と取り組み」
2014年1月~2015年11月 
復興庁「全国避難者等の数」
2011年8月~2015年12月 
のPDFデータの中から数値化できる情報を抜き出し、
年次ごとにまとめられているデータを内容ごとに再整理し、時系列ごとに並べ、
いままでの経過が追えるようにまとめました。


まとめたデータを利用し、2011年から2015年までの経年変化が
一目で分かるようなWEBコンテンツを制作し、今回展示しています。




この作品を通して、
正しい理解を促し、復旧・進捗した点の経年変化を伝えることで
未復旧・停滞している点についても意識させることが出来ればと思います。

私の作品の他にも、
先生の作品を含め11作品が展示されています。
ぜひご来場ください。

首都大学東京ネットワークデザインスタジオ2016年
卒業・修了制作展 mix juice