こんにちは。渡邉研究室修士課程の柳智娟です。
2026年7月14日から8月30日まで、TEPIA先端技術館で開催された夏イベント「キラキラ★サマーフェス ~ふしぎと発見がいっぱい!~」にて、「AIものがたりブック ~写真で見つける海とわたしたちのつながり~」を展示し、無事に展示を終えることができました。
作品概要
「AIものがたりブック」は、「海と私たちのつながり」をテーマに、写真を情報探索の入り口として、海洋生態系だけでなく、人々の暮らしや環境問題など、海とのさまざまなつながりを知ることができるよう構成した体験型の展示作品です。
利用者は、提示された写真の中から興味のある写真を繰り返し選びながら、自分の関心を具体化していきます。その後、読みたい物語の観点を選ぶと、選んだ写真とあらかじめ構築した文献データをもとに、AIが物語を生成します。
生成された物語は、大型の模型本に投影されます。利用者が実際にページをめくると、そのページに合わせて内容が切り替わり、自分の選択から生成された物語を、本を読むように体験できる仕組みになっています。
展示に向けた準備
本格的な展示準備は4月から始まりました。約2か月にわたり、TEPIAの関係者の方々と対面やオンラインで何度もミーティングを行い、展示の準備を進めました。
ミーティングでは以前の作品を紹介するとともに、TEPIAの夏イベントのテーマや来場者に合ったコンテンツについて話し合い、作品の構成や運営方法を調整しました。その後、展示に必要な資料の収集・構成を行い、実際の会場でシステムが安定して動作するよう準備を進めました。
展示直前には、実際に会場で作品を運営してくださるスタッフの方々に、作品の内容や体験方法、運営上の注意点などを詳しく説明し、質疑応答の時間を設けました。私が会場に常駐していない間も、来場者への作品紹介や運営を行っていただけるよう、事前に確認を行いました。
展示を通して
展示は48日間にわたって行われ、子どもや家族連れの来場者を中心に、約1,100名の方々に「AIものがたりブック」を体験していただきました。
今回の展示で特に印象的だったのは、子どもたちが一連のインタラクションを自然に楽しんでいる姿でした。
-写真選択
写真を選ぶ際には、迷うことなく、自分の興味に合わせて直感的に写真を選ぶ姿が見られました。
-模型本の体験
子どもたちは模型本に積極的に触れ、自分でページをめくりながら体験する姿が見られました。
-長期間の展示
作品の特性上、QRコードを認識するための機器の調整や動作確認が必要でしたが、会場スタッフの方々のご協力により、長期間大きな問題なく運営することができました。
また、模型本の摩耗に伴い、展示期間中に破れにくい素材で新たに制作し、交換しました。こうした経験から、長期間の展示における安定した運営やメンテナンスの重要性を実感しました。
そのほかにも、アンケート調査のために会場を訪れた際には、保護者の方々から作品についてさまざまなご意見を伺うことができました。ほかのテーマへの応用についての提案や、AIを活用した仕組みへの関心など、さまざまな反応を聞くことができました。
こうした対話を通して、作品を実際の来場者に体験していただくことは、単に評価を得るだけでなく、自分にはなかった新たな視点や考えに触れる機会にもなるということを感じました。
最後に
今回の展示は、2025年の東京大学制作展「あることないこと」で発表した作品をきっかけに実現した、2回目の展示となりました。大学内で始まった作品を外部の施設で展開できたこと、また、これまで文化資源を中心に展開してきたシステムを「海とわたしたちのつながり」という新たなテーマに応用できたことは、大変意義のある経験となりました。さらに、外部の施設と直接やり取りをしながら展示を準備するのは今回が初めてで、関係者の方々と調整しながら一つの展示をつくり上げていく過程でも、多くのことを学びました。
展示の準備から終了まで一緒に取り組んでくださった修士課程のイソジョンさん、博士課程の村山美耶子さん、そしてご指導いただいた渡邉先生に心より感謝申し上げます。また、貴重な展示の機会を設けてくださったTEPIA先端技術館の渡邉館長をはじめ、展示運営にご協力いただいた関係者の皆様にも心より感謝いたします。
今後も、研究成果を展示やイベントなどさまざまな形で発表し、より多くの方々と共有する機会をつくっていきたいと思います。