ga009: デジタルアーカイブのつくり方 ~ビッグデータ・オープンデータを紡いで社会につなぐ~
講座内容
注目を集める「ビッグデータ」。「データ」はどのように社会に活用されていくべきなのでしょうか。「ヒロシマ・アーカイブ」「東日本大震災アーカイブ」他、多数の事例をもとに、データと社会の関わりを考察します。
前半の講座では、まず、デジタル地球儀「Google Earth」に、さまざまなデータを重ねあわせ=「マッシュアップ」して可視化してみます。次いで、この手法を発展させた、南太平洋の孤島ツバル、広島・長崎原爆、東日本大震災などのデジタルアーカイブ=「多元的デジタルアーカイブズ」について解説します。さらに、この「多元的デジタルアーカイブズ」をつくる、社会における運動体「記憶のコミュニティ」について論じます。
後半の講座では、まず、流行語ともなっている「ビッグデータ」と「オープンデータ」について概説します。次いで、東日本大震災発生時のビッグデータや、自治体・公共機関のオープンデータをGoogle Earthにマッシュアップした事例を示しながら、データをどのように捉え、どのように社会に活かしていくべきなのかを議論します。最後に、前回の東京オリンピックのデジタルアーカイブなど、現在進行中のプロジェクトを紹介し、本講座のまとめを述べます。
第1週
- マッシュアップとデジタルアーカイブ
- 「Google Earth」は「もうひとつの地球」
- さまざまなデータを可視化する
- ツバルは「気の毒な国」?
- ナガサキ・ヒロシマ・震災のアーカイブ
- 「多元的デジタルアーカイブズ」と「記憶のコミュニティ」
- 既存のデジタルアーカイブとその弱点
- 「多元的デジタルアーカイブズ」の概念
- 資料集めの困難と技術の寿命
- 「記憶のコミュニティ」の果たす役割
- ビッグデータとオープンデータ
- ビッグデータの時代
- オープンデータの時代
- 「震災ビッグデータ」の可視化
- 「人力オープンデータ」と社会の枠組み
- データを紡いで社会につなぐ
- 越谷、広島、新潟、バンダ・アチェのアーカイブ
- 東京オリンピック1964のアーカイブと将来像
- データを紡いで社会につないで…
渡邉 英徳
情報アーキテクト。情報デザイン、ネットワークデザインを研究。「ナガサキ・アーカイブ」「ヒロシマ・アーカイブ」「東日本大震災アーカイブ」などを制作。沖縄県事業「沖縄平和学習アーカイブ」では総合監修を担当。講談社現代新書「データを紡いで社会につなぐ」などを執筆。
1996年 東京理科大学理工学部建築学科卒業(卒業設計賞受賞)、1998年 同大学院修士課程修了、2013年 筑波大学大学院博士後期課程修了。博士(工学)。2001年より株式会社フォトン代表取締役社長(現スーパーバイザー兼取締役)。2008年より首都大学東京システムデザイン学部准教授。2013年より京都大学地域研究統合情報センター客員准教授を兼務。
前提条件
講座内で取り上げるコンテンツを閲覧するために、Google ChromeおよびGoogle Earthプラグインをインストールしたパソコンを各自で用意すること。
課題内容
毎週のショートエッセイと、最終レポートを課します。
- 毎週(各単元)、ショートエッセイ(800字)を課し、受講者間での相互採点を実施
- 最終レポート(1600字)を課し、受講者間での相互採点を実施
得点率70%以上
参考文献
講談社現代新書
『データを紡いで社会につなぐ―デジタルアーカイブのつくり方』
著:渡邉 英徳
(講談社 2013年11月刊行)