現在開催しております、卒業・修了制作展ですが、今日は博士1年の高田がレポートさせて頂きます。
卒業・修了制作展のため、主に学部4年生と修士2年生の作品を展示しているのですが、今回私が現在関わっているプロジェクトも展示しております。
今回紹介するのは「フィールドノート・アーカイブ」です。
まだ進行中のプロジェクトで初公開となりますが、高谷好一氏(京都大学名誉教授)が長年のフィールドワークで調査した、東南アジアでの観察や聞き取りの記録であるフィールドノートをGoogleEarth上にアーカイブした作品です。
フィールドノートの中身は、景観写真やスケッチ、気づきのコメント等多様にあり、それらが地名情報や距離情報と共に、時系列上にドキュメントとしてまとめられています。
これらの情報をGoogleEarth上にビジュアライズすることで、実際に訪れなければ分からないその地の新たな発見や過去の観察が出来るだけでなく、フィールドワークを行った高谷氏が当時どのように考え行動したのかを可視化することにも繋がると考えています。
本プロジェクトの特徴としては、キーワード検索や、広域マップ検索、タイムライン検索機能を設けています。
それぞれの記録は、実際に通った軌跡上に順番に並ぶため、時系列に沿って情報をデータ化しており、記録の前後関係が見えるようになっています。
キーワード検索でも、ヒットしたものが記録の順番に線で結ばれます。
今後、フリーキーワードだけでなく、フィーリング検索やカテゴリ検索のような機能を備えられればと考えていますが、試しに何かで検索してみたいという方は、「コーヒー」「ゴム」「ココヤシ」といったキーワードで検索してみて下さい。
ここで、アーカイブする際の作業工程について少し触れたいと思います。
まずアーカイブを行うために、フィールドノートをデータ化する必要がありました。
そこで、どこで記録した情報なのか一つ一つ昔の地図を見ながら推測し、マッピングをしていく作業を行います。
実際にこの作業に取り掛かると、地図では表記されていない地名が出てきたり、現地の開発が進み、今では使われていない道を通っていたりなどして、なかなか容易にマッピングできないことが分かりました。
しかしマッピング作業を自ら行うことで、次第に当時の風景を想像出来るようになり、当時未開発だった地が数十年で大きく変容したことに気づかされました。
マッピング作業を実際に行った人間だけでなく、このGoogleEarth上にビジュアライズした作品をご覧になった方にも、このような気づきや驚きといった感情を共有できればと思っています。
また現段階では、数百ページの冊子が何部にも渡っている中のほんの一部分しかまだマッピング出来ていません。
学部3年の学生たちとも協力しながら、これから少しずつ増やしていければと思っています。
本プロジェクトは、[http://fieldnote.mapping.jp]で公開しております。
他の作品も見てみたいという方、是非ルデコにお越しくださいませ。
高田