VALON —オープンデータベースの災害用ベンダーナビゲーションアプリ—



こんにちは!
学部4年の水落です。

今回は私の1年間の研究のまとめと、卒業制作の作品について
ご紹介させて頂きます。




私は「災害用ベンダーを利用した災害対策の提案」の研究をずっと続けてきました。
私たちの周りには当たり前のように自動販売機が設置されていますが、世界でもここまで街中に自動販売機が設置されている日本はとても珍しい国です。

さらに災害用ベンダーというタイプの自動販売機もあり、災害時には無償で飲料を配布する機能を持つ自動販売機や、最近では発電機付き、応急セット付きのタイプなど、多くの災害用ベンダーがあります。

しかし私は自分の生活圏の災害用ベンダーの設置場所は把握しておらず、ましてや実際にどのようにして災害用ベンダーを操作するのか、といった事も理解していません。
事前に取ったアンケートでも、私と同じように多くの人が災害用ベンダーの設置場所や使用方法を知らないとの結果がでました。

そこで、
自分の生活圏の災害用ベンダーの設置場所を事前に把握し、いざという時に適切に操作ができ、その場に留まらざるを得ない人々の自助、共助の手助けができる。
この目的を設定し、"VALON —オープンデータベースの災害用ベンダーナビゲーションアプリ—"の制作を行いました。







次に、本アプリのUIや機能について説明します。

初めに、本アプリはオープンデータ(自治体が一般に公開しているデータ)をソースとしています。
よって本アプリは、どの自治体の災害用ベンダーであっても対応し、動作致します。






上図が各ソースデータの対応表となっています。


次に、マップUIについてです。
従来のiOSマップピンでは

1、ピンの密集が見づらい
2、ピンの差別化が難しい

といった問題点がありました。
以上を解決するため、マーカーアイコン、集合アイコンを採用しました。
これらの機能によって

1、ピンよりもサイズの大きいマーカーによって視認性の向上
2、ユーザーのマップ表示の仕方によって、近隣のマーカーが自動的にまとまる

といった解決を施しています。

また、各マーカー地点から遷移する災害用ベンダー解説画面では、
GoogleStreetView
災害用ベンダー使用方法解説画像
そのベンダーまでの既存ナビアプリを利用したルート検索機能

が実装されています。


実際に災害が起きた時ではなく、
例えば新しい街に引っ越してきた時、
例えば学校の授業の一環として、
例えば家族でいざという時の非難はどこにするかを話し合う時に、

普段の"何かあった時"の備えを助けることのできるアプリケーションになれればと考えています。




この1年間、ありきたりですが、長いようで本当に短く感じた期間でした。
市の方にご協力頂けたことや、大きな企業の方へのプレゼンの機会を頂いたこと。
挙げたらキリがありませんが、本当に多くの方々の協力の元成しえた研究だったと思います。
そして何より今までと一番異なったのは「誰かの助けとなれるような」というコンセプトです。今まで自分が制作してきたデザインなどは、どれだけカッコよく、綺麗に見せる事ができるか。端的に言ってしまえばそれらに重きを置いていたものが、

災害用ベンダーのアプリを制作する際、もちろんカッコよさも考えてはいましたが、どれだけ誰かの助けになれるか。
と考えながら制作した経験は初めてで、本当に学ぶ事が多かったと感じます。


後輩の皆さん、
物作りやデザインといった漠然とした領域において、
揺らがない自分の芯、のようなものは大切だと思います。
それがきっと皆さんらしさになると思います。

でもそれに固執しすぎて、他の分野や表現に手を出さずにいるのはとてももったいない
事なんじゃないかな、とも私は思います。

私自身、なんとなくカッコいいやつ作って卒業しよ。
と思っていたため、まさか防災関係の卒業制作を作るとは思いもしませんでした。
思いもしなかったからこそ、色々な発見もありました。

webやグラフィックが自分の芯だ!と決めつけて他の分野の事を見もしないのは、寂しい気もします。
逆に、色々な分野で色々な制作をしているにも関わらず、どんな作品にも自分らしさが出てきた時には、きっと沢山の人を魅了する作品となっているかもしれません。

偉そうに言いましたが、私自身の目標であったりもします。


先生、先輩方を初め、多くの方に大変お世話になりました。
本当にありがとうございました!