Home
About Us
Archives Series
Students' Work
Member
About Lecturer
Home
About Us
Archives Series
Students' Work
Member
About Lecturer
ホーム
hidenori
「サマーウォーズ」感想
「サマーウォーズ」感想
8月 30, 2009
こんな研究室
を運営している割に「
サマーウォーズ
」にはそれ程興味が沸いてなかったのですが…予告編を偶然眼にして”こりゃ観なくては”という気分になったところに、教え子や首都大同僚の
@docta
さんに「
あなたが観ないでどうする
」と背中を押され、そしてtwitterにて
しらい
さんにお誘いいただくなど勢いづき、お台場デート兼ねて観に行ってきました。
以下、感想を羅列的に。ネタばれもありそう。
序盤、仮想世界の描写にまず引き込まれる。アバター・仮想商店街などなど、いみじくも過去のSecond Lifeに関する報道で何度も使われた概念群が、とても魅力的に描かれている。おそらく各々の単語の意味は分からなくても、誰もがこのチャーミングな世界に”行ってみたい”気になるはず。サービスへのアクセス手段もPC・ケータイ・iPhone・NintendoDSと、きめ細かく網羅されていた。「仮想世界サービス一般」のプロモーションムービーとしても、とても良くできている。リンデンラボはじめサービス運営元は、このくらい楽しげな打ち出し方をしないと駄目なんじゃないか。
セキュリティ・共有知・プライバシー・ネットイベント・犯罪・炎上・人工知(無)能などなど、現在のインターネットにみられる諸事象が、ストーリー中で至極平易に紹介されていることに感心した。こういう物事を扱う場合、下手すればただの解説に終始してしまう。しかしこの映画ではすべてが無理なく美しく、終盤へ向かう盛り上がりに沿って”誰にでもわかる”ように表現されており、とても教育的。自分の学生たちにもぜひ見せたいと思った次第。勘のいい子なら、1年分の講義の骨子はこの映画で学ぶことができるかも。
さらに、登場人物たちが過ごす日常と、仮想世界における出来事の重なりあいかたが絶妙。主人公ら、仮想世界が日常にどっぷり浸み込んでいる人々。対照的に「それってゲームでしょ」と距離を保つ人々。そして、次々と起こる事態に翻弄される世界を俯瞰しつつ、電話や手紙、あるいは対面で事態の収拾をはかる祖母。彼女はさすが年の功というか、状況に応じた最適なコミュニケーション手段を迷わず執っている。世界をかたちづくっていくのは、情報に載せられた(人の)意思であり、情報そのもの、さらには情報伝達手段そのものではない、ということだろうか。
そういったポジティブなメッセージに呼応するように、科学技術、そして先輩の女生徒との恋や田舎の夏休みなど、懐かしき「ジュヴナイルSF」としての道具立てが揃っている。実際こちらの期待を裏切らず、好奇心からスタートした「効率」と「論理」が世界を席巻したようでいて、最後には人々の「意思」が事態を収拾する・・・といった具合に、いかにもジュヴナイル的にきれいにストーリーテリングされていた。かつてそういう類の小説を読んで育った世代(=僕ら)をターゲティングしているのかも知れない。といいつつも、隣席に座っていた女子中学生たちにも確実に通用していた。彼女らはアバターのデザインにいちいちウケつつ、キス(未遂)シーンではキャーキャー騒いでいたくらい。とても分かりやすいサンプル。
設定そのものは2009年時点で普遍的なものであり、あっというまに陳腐化するかもしれない。遠未来に向けてドライブを掛けてくれる映画ではなく、取りあえず今日明日くらいのレンジで一所懸命やりましょう、といった雰囲気。そういう意味で射程距離が長いわけではない。ストーリーもジュブナイルぽいと感じるくらいに正統派で古臭く、新味はない。しかし「2001年」がいまや永遠に到達できない未来となったように、この映画は、観た人々の心のなかに「いつまでもやってこない明日」として残っていく気がする。遠い未来に照準を合わせたとしても、いつか”その時”はやってきてしまう。日常がどんどん書き代わっていく今、射程を縮めて極々近未来の「今日明日」を濃密に描いたほうが、力強い作品をつくりだせるのかも知れない。
それにしても、映像系に限らず、何かを制作する仕事に携わっているひと・そういうひとになろうとしている学生たちはぜひ観るべきだろう。ガラガラのシネマメディアージュにして、スタッフロールが終わるまで誰も席を立てないくらいのいい映画だった。元気を貰えてよかった。(wtnv)
hidenori
Translate
Featured Post
works
東京大学基金「戦災・災害のデジタルアーカイブ基金」設置のお知らせ
HIdenori Watanave
3月 03, 2023
Popular Posts
日本テレビホールディングスと「先端技術を活用した報道手法のアップデート」を目的に共同研究を開始
2月 04, 2025
2024デジタルアーカイブ産業賞の奨励賞受賞の報告
1月 21, 2025
「押韻」の歴史的変遷と現代における「ライミング」活用の架橋
2月 11, 2016
GPTsで小説生成ツールを作成しました
3月 23, 2024
バレーボールの練習改善のためのプレー記録の視覚化
2月 06, 2017
「能登半島災害3Dデータ」公開
12月 28, 2024
「教育版マインクラフトで広島の歴史を学ぼう」ワークショップ開催報告(2023年8月4,5日)
8月 22, 2023
2024/12/18-25『War in Cities 戦争の街を体感する』企画展(みなとみらい)出展
12月 14, 2024
地域イメージを見出すための時空間ベースの音楽再生アプリ
2月 06, 2017
少数民族の情報を発信するためのウェブデザイン・アクティビティの実践
2月 11, 2016
Archive
2025
2
2024
27
2023
24
2022
20
2021
9
2020
8
2019
13
2018
22
2017
55
2016
46
2015
43
2014
61
2013
75
2012
87
2011
112
2010
93
2009
124
2008
6
Contact form