出題者:渡邉英徳・中田千彦
課題
「起想転街」 ~撮り、つぶやき、想い、起こす、まち
課題主旨
■背景1:2009年におけるウェブ技術の特徴
現在、ウェブ上のコミュニケーションサービスは「ライブ感」とも表現される「即時性+同時性」を求める方向に大きく動いている。会議などにおけるさまざまな応用事例も生まれているミニブログサービス「twitter(http://twitter.com/)」、あるいは仮想世界サービス「Second Life(http://www.secondlife.com/)」 あるいは近日公開予定のGoogle Wave(http://www.atmarkit.co.jp/news/200905/29/wave.html)などはその代表例である。
しかし一方「アーカイブ」としての非同時的な情報閲覧が可能なところも、ウェブの持つ大きな利点である。「クラウドコンピューティング」という概念は、この利点を強化する。一旦アップロードされたテキストや画像ファイルはGoogleのデータベースに格納され、その検索結果にキャッシュされる。「Picasaウェブアルバム(http://picasaweb.google.co.jp/)」「YouTube(http://www.youtube.com/)」などの画像・映像共有サービスは、大容量で信頼性の高いストレージを提供する。デジタル地球儀サービス「Google Earth(http://earth.google.com/)」上では、クラウド上の衛星画像・地理情報を自由に閲覧することができる。
リアルタイム性とアーカイブ性は、2009年におけるウェブ技術の大きな特徴である。
■背景2:「誤解」と「勘違い」を招くウェブ環境
即時性・同時性の高いコミュニケーションでは、ユーザによる「誤解」や「勘違い」が起きがちである。十分な文字数を割くことができないため、推敲した文章ではなく、むしろ日常会話に近い反射的なやり取りになる(このこと自体の是非は本課題では敢えて問わない)。
また、共有サービス上の画像や映像の信憑性は保証されていないにも関わらず、視覚的にも強い説得力を持っているため、時にネガティブになりがちな「誤解」や「勘違い」が自己増殖していく。使い手側の裁量が問われるとともに、情報を発信する側のモラルとスキルが問われる時代である。
- あえて”自覚的・確信犯的な”「誤解」と「勘違い」をウェブ上で展開し、それらの情報を「素材」とした作品制作を行うことで、ウェブ上における人々の行為・行動の波及効果を実体感する。
- twitter やGoogle Earth、Second Lifeなどの最新のウェブサービスを活用した作品制作を行い、オンラインのコラボレーション手法や2009年におけるウェブ技術の特徴について学ぶとと もに、近未来のインターネット環境についての想像力を育てる。
- Google EarthやSecond Lifeなどのインタラクティブ3Dウェブコンテンツの制作技法と、それらのblogやYouTubeなどにおけるプロモーション技法について学ぶ。
ワークショップの流れ
■第一週:Google Groupsへの参加:GPS写真の収集
全員Googleアカウントを取得し、Google Groups(後日発表)に参加する。その後、三校の学生がそれぞれ複数のグループに分かれて
- 首都大→八王子
- 宮城大→仙台
- デジタルハリウッド大→秋葉原
写真撮影の際に、ただ漫然と撮るのではなくテーマを決めておくこと。
- 人を撮影する
- 車を撮影する
- ファインダーを覗かず機械的に等間隔に撮影する
■第二週:Google Earthでマッピング+twitterで「誤解」「勘違い」の放流
各グループでPicasa Web Albumを開設し、写真をアップロードして共有+Google Earthにマッピングする。GPS情報が含まれていれば、Picasa Web Album上でGoogle Earth用のkmzファイルが自動的に生成される。
その後、参加者各人がtwitterアカウントを開設し、それぞれハッシュタグ「#tmu」「#myu」「#dhw」つきで、以下のさえずり(つぶやき)を「積極的に」誤解を招くかたちで書き込む。
- 自分の街についてのさえずり(つぶやき)
- 撮影した写真についてのさえずり(つぶやき)
■第三週以降:Second Lifeでの作品制作
(以降、デジタルハリウッド大学の学生は任意参加)
お互いに”相手の”街・・・首都大側は「仙台」の、宮城大側は「八王子」「秋葉原」(=「東京」)に関する写真とtwitterログを元にして、Second Life内で作品制作を行う。
全世界向けを意識して、可能なら英語ベースで構築すること。
- 建造物・空間のテーマについては後日発表。
- 写真を用いた仮想空間デザインについては、渡邉英徳の論文「コンテンツ志向の空間(http://wtnv.jp/paper200903.pdf)」を参照。
■最終日:講評会
持ち時間10分でプレゼンテーションを行う。
- 各チーム「5分以内」のプレゼンテーションムービーをつくり、YouTubeにアップする。タグは「tmu myu dhw」と設定。
- オンラインでの鑑賞者のために、blogに映像込みで記事をまとめておくこと。
- 本番のプレゼンはPowerPoint+ムービーを用いるか、実際にSecond Lifeにログインして行うこと。
- プレゼンはウェブ上にストリーミング上映し、Second lifeやtwitterを使った一般参加も募る。
中田千彦(myu)