東京大学大学院情報学環・学際情報学府の研究生肖雲鵬です。
2024年5月19日から5月27日まで東京都美術館で行われている『越境する心と芸術』展に私のAI短編映画作品『島の守り手』と『存在の輪廻』が展示されています。
こちらに作品をご紹介いたします。
『島の守り手』は曖昧な象徴主義が特徴で、48時間以内に制作され、画像と映像素材はすべてAI生成ツール(Midjourney, Runway ML)で作られました。
『島の守り手』:真実を象徴する鯨 |
Story:妻が轟く海にさらわれた後、老人はその島に根付いたままでいた。けれども、ある日、再び嵐が吹き荒れ、宿命の夜を反響させる中、彼はその島と――そして、彼の過去とを離れる覚悟を決めた。もう戻ることはない。
最初に『島の守り手』の脚本を書き始めた時、私は孤独や後悔、愛と勇気をテーマにし、自然主義の要素を取り入れた物語を書こうと考えました。物語は嵐が吹き荒れる海上の嵐の中で始まり、老人の耳には隠された真実を象徴する鯨の歌が響きます。編集の最後に、私はナレーションを使うことを断固としてやめました。原因とは、曖昧な象徴主義の物語において、説明のない感情の体験が観客の共感をより引き出すことを望んでいます。
『存在の輪廻』・The Cycle of Being
『存在の輪廻』はポストリアリティをテーマにしており、72時間以内に完成。映像素材、音楽、効果音、声はすべてAI生成ツール(Midjourney, Pika Labs, Elven Labs, Suno)で作られています。
『存在の輪廻』ポストカード |
Story:ポスト現実の世界中で、AIが若い僧侶を導き、彼が前世の輪廻の経験から悟りを開くよう導いています。数世紀にわたって、古代エジプトの奴隷であり、中世ヨーロッパの騎士でもあり、小僧は前世での苦難、欲望、怒り、狂気の光景を目撃してきました。文明が発展し続けても、「一切皆苦」の世界は変わらない。機械が人間に、人間が機械になる豊かな物質の世界において、人間として存在する意味は一体何なのでしょうか?この作品は輪廻と永遠、儚い肉体と不滅の霊に関する物語です。
インスピレーションは『The Seventh Seal』(1957)、『The Animatrix』(2003)、そして『The Very Pulse of Machine』(2022)から得られました。
『越境する心と芸術』展覧会
展覧会現場 (1) |
展覧会現場 (2) |
展覧会現場 (3) |
映画やアニメーション制作におけるAIの進化は、作品内容だけでなく、制作プロセスそのものに革命をもたらしています。以前は数か月を要した制作期間が、今では数日で可能となり、個々の創造性がより自由に発揮されるようになりました。
私はAI生成技術と映画の表現を組み合わせて、「生成AIの時代において、個々人が自分の物語を語る可能性」を示すことを目指しています。高齢者や障害者を含む社会の多様なメンバーが、AIを通じて自分の物語を語り、他者と繋がれると考えています。言葉にできない感情や経験をAIが芸術的に形にすることで、新しいコミュニケーションの手段が提供される未来を期待しています。
興味のある方、ぜひ会場に足を運んでいただければ幸いです。
展覧情報
『越境する心と芸術』 |
一般社団法人日本画府 先端表現部門 設置記念展 『越境する心と芸術』
主催:一般社団法人日本画府 共同主催:国立大学法人東京大学 作曲指揮研究室
会期:2024年5月19日(日)- 2024年5月27日(月) 通常 9:30 - 17:30
場所:東京都美術館 1階 第2展示室内
入館料: 無料