【レポート】トルコ地震デジタルアーカイブ支援ワークショップ

東京大学大学院情報学環・学際情報学府博士課程の小松尚平です。

2024年3月12日から15日にかけて、カフラマンマラシュ地震関連デジタルアーカイブの作成支援・活用のプロジェクト(J-RAPID)の一環として、トルコのアンカラにある中東工科大学にて、デジタルアーカイブ化を支援するためのワークショップをしてきました。このワークショップでは、最新の技術を用いて災害データをどのようにアーカイブし、東北大学災害科学国際研究所及び、中東工科大学(METU)の先生や学生をともに、トルコ・日本のそれぞれの視点でどのように活用可能かを話し合いました。


ワークショップ概要

ワークショップでは、3D GIS および 3D スキャンアプリのツールを事前に調査・体験するように伝えました。これには、衛星画像を用いた災害後のアウトリーチ、渡邉研究室の学生によるデジタルツールを用いた戦争の可視化に関する内容など、様々なテーマが含まれていました。

ワークショップの様子


ワークショップの日程と内容の詳細

第1日(2024年3月12日) 

最初の日は、METUの教授による地震被災地の現状に関する講演が行われ、東北大学の今村文彦教授と東京大学の渡邉教授による「日本とトルコの地震災害対応」に関する講演がありました。災害に関して統計学的な分析や、デジタルアーカイブによる可視化など、それぞれの研究の内容が紹介されました。さらに、渡邉研究室の学生による災害プロジェクトに関するプレゼンテーションがあり、デジタルアーカイブやハードウェア、VRなどのアプリケーションを活用した研究開発の紹介を行いました。

戦災VRを体験してもらっている様子


第2日(2024年3月13日) 

翌日は、トルコ・シリア地震の衛星画像マップを中心に、学生ワークショップが行われました。METI、東京大学、東北大学の学生たちが集まり、協力してプロトタイピングプロジェクトに取り組みました。ここでは、3D GISや、AI、VR・AR、ゲーミフィケーションなどのデジタルツールの体験デザインが重要視され、新興テクノロジーを用いたアプローチが模索されました。 

講演とワークショップ発表の様子


第3日・第4日(2024年3月14日・15日)

この2日間は、METUの学生たちが主体となって、教授陣のサポートなしで自由な議論やプロジェクトの計画立案などの交流を中心とした会として設けられていました。

お昼休みの様子

学生ワークショップチーム

ワークショップの成果

グループ毎のワークショップの成果としてまとめたポスターへのリンクが以下にまとまっています。





まとめ

このワークショップを通じて、私たちは普段研究しているデジタル技術を活用した災害研究にどのように貢献できるかという意見を、現地のトルコに学生と深められたことで、普段気づかない洞察を得ることができました。特に、地震や台風が多い日本と比較して、トルコの学生との対話を通じて、災害に対する危機管理の違いに気付かされました。

ワークショップでは、災害に関しての理解を深めることを目的として、教育とインタラクティブなゲームの開発に関するアイデアが多く提案されました。日本とトルコの両国に共通する認識として、子供たちに災害時の避難経路や安全な場所を識別する方法を教えることの重要性が挙げられました。これらのゲームは、楽しみながら災害時の適切な行動を学べるようデザインされていましたが、理解を深める上での課題も議論されました。

また、災害に対する人々の記憶や態度を可視化し、デジタルアーカイブを通じて未来の世代に経験と情報を保存することを目指すアイデアも話題となりました。日本とトルコの間に存在する災害への認識の違いについても興味深い発見がありました。

このワークショップは単なる技術学習の場にとどまらず、異なる文化背景を持つ日本とトルコの学生たちが共通の課題について話し合い、国際的な協力の場としての役割も果たしました。当初、文化や言語の違いによるコミュニケーションの壁を感じていましたが、AIやビジュアルツールの活用により、効果的な異文化間コミュニケーションが可能となりました。

このワークショップは私にとって、デジタル技術の可能性と国際的な協力によって成果を生み出せることを再認識させる機会となりました。異なる文化や背景を持つ人々が一つの目的のためにディスカッションすることの重要性を実感しました。今後もこの経験を活かし、災害データのデジタルアーカイブ化と研究開発に取り組んでいくことを楽しみにしています。



ワークショップ参加者の集合写真