2024年3月2日から6月2日までインターメディアテクで行われている『都市 − ヱドキリエズ』展に渡邉研修士課程の山口、濱津他が制作した地図に関する作品が展示されています。
制作した作品は東京大学制作展2023のために制作を始めたもので、更にアップデートした作品が展示されています。
制作した2つの作品をご紹介します。
kaleidomap
2023年/山口温大、濱津すみれ、天野克敏、飯田ジュリエット柚実/石膏・デジタルデータ
本作は、同じ場所を描いた複数の地図をコラージュし、地形の立体模型に投影した作品です。
地理院地図や観光地図などの現代の地図、さらに江戸切繪圖や東京都の地図といった過去の地図を収集して、小さな破片にしたものをコラージュしています。コラージュで切り取られる領域が変化していく映像が、実際の土地の標高を表した真っ白な立体模型にプロジェクターで投影されています。
例えば、ある場所はある地図によってイラストチックに描かれますが、時間が経って地図が切り替わると、等高線で描かれるようになるかもしれません。
地図は、その作成者が、地表をある視座のもとに解釈し、記号で表現した画像です。ひとつひとつの地図は、取り上げているランドマークやその表現方法、位置関係などがそれぞれ異なります。一方、地形を表した立体模型は、計量的な手法を通じて、全ての地図作成者が共通して認識することができる地表を表しています。
本作では、地図が世界を独自の解釈で切り取り、独自の方法で表現していることを強調しました。
AI「地図」
2023年/濱津すみれ、山口温大、天野克敏、飯田ジュリエット柚実/デジタルデータ
画像生成AIによって描画した、実在しない場所の「地図」です。本展では、2000点の「地図」を展示しています。
テキストから画像を生成する人工知能である「Midjourney」にプロンプト(画像を生成するための指示を行う文字列)を入力し、その出力画像をそのまま表示しています。
地図は、地球表面上のある地域を記号を用いて表現したものと言えます。しかし、AIが生成したこれらの「地図」にはその元となった実際の地域が存在しません。AI生成地図はいわば、AIが考える「都市とはこんなものだ」というイメージを表現したものです。
それでもなお、人々がそれを地図だと認識するのであれば、地図の本質はどこにあるのでしょうか。本作品はそれを考えるための一つの手がかりになるのではないかと考えています。
地図に興味のある方、ぜひ会場に足を運んでいただければ幸いです。
展示情報
特別展示『都市 − ヱドキリエズ』
主催:東京大学総合研究博物館
会期:2024年3月6日(水)- 2024年6月2日(日)
場所:インターメディアテク2階「GREY CUBE(フォーラム)」(東京駅横のKITTE 2F)
入館料: 無料
ホームページ:http://www.intermediatheque.jp/ja/schedule/view/id/IMT0273
プレスリリース:http://www.intermediatheque.jp/ja/press/view/id/PR073