きょうは4年生対象の「ネットワークメディアアート演習III」にて、ゼミ形式の講義を行いました。”演習”なのですが、割と自由にやってます。この講義はwtnvスタジオ以外のメンバーも受講しています。
お題は以下です(若干改稿しています)。色々面白い意見が飛び出しました。
テッド・チャン「あなたの人生の物語」には、時間軸に沿ったリニアな時間経過の感覚ではなく、自分/他人/宇宙の誕生から死までを、俯瞰的に眺める能力を持つ種族が登場する。しかしS-Fに限った話ではなく、我々ホモ・サピエンスも、これに近い感覚を持っていなくはない。実は「あなたの人生の物語」は、wtnvのS-Fマガジン仕事デビュー作。今までの作品を通して追求してきたテーマだったりもします。ちなみに今日のゼミで、個人的に最も印象的だったことばは「未来を忘れる」(by串山スタジオ鈴木龍彦君)でした。
母が娘に対して、 「あなたがこうなるって分かっていたから、あの時私はこう言ったのよ」と叱る時、これと同じような視点に立って、ことばを吐いているとも言える。これは、我々にとっては「勘」ということばで言い表される事柄でもある。
現代のインターネット上では、少なくとも過去の事象について「俯瞰的な閲覧」が可能になっている。ホモ・サピエンスが日常的に発動する「俯瞰的な時間感覚」を獲得していたら、どんな2009年になっていただろうか。
曰、「あ~15年後に自分がどうなってるのか、忘れちゃった!」
今日の講義を通じて、インターネット前後というか、物心ついたころにはネット(=非同時・非同場所の環境)が周囲に存在していた世代と自分の感覚の違いも、改めて把握できたような気がしました。
(wtnv)