20160211

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「押韻」の歴史的変遷と現代における「ライミング」活用の架橋


こんにちは、修士2年の岸岡信伍です。
今回は、修士研究の紹介をさせていただきます。

みなさんは「ライミング」という言葉はご存知でしょうか?
あまり身近な言葉ではないかもしれません。
では、「押韻」という言葉はどうでしょう?
「押韻」は「ライミング」を日本語にしたものとされていますがこちらもピンと来ないかもしれません。
一応みなさんは「押韻」を学校教育で漢詩の勉強をするときに一度習っているはずです。
偶数句末で同じ音の漢字が置かれるだとかそういうものです。
「押韻」は“詩歌などで,同一または類似の音韻をもった語を一定の箇所に用いること.韻を踏むこと”とされており漢詩だと「深(しん)」「心(しん)」「金(きん)」「簪(しん)」のような(in)の音で共通するものが韻だということになります。
日本語の場合は
 ・おとな(ooa)
 ・ことば(ooa)
と、(ooa)の母音が共通しているこれらの言葉が韻であり、韻を繰り返し用いることが韻を踏む「押韻」ということになります。
学校で扱う「押韻」が漢詩のみであることからも、韻を踏むという表現は日本の文学ではあまり活用されず顕著な発展をみせていません。
一方、欧米言語で「ライミング」はシェイクスピアの時代にはすでに確立されており、現在の活用の幅は文学だけでなく歌謡曲、童謡、さらに教育とかなり広いものになっています。
ところが、1980年代にヒップホップミュージックが輸入した後、ラップで韻を踏むことを「ライミング」とし、日本語での韻表現は発展していきます。そして現在の日本語ラップでは韻を踏むことは当たり前になっています。
私の研究の目的は、日本で定着しなかった「押韻」と、日本語ラップで当たり前に活用されるようになった「ライミング」を結びつけて論じることです。

このブログでは論文の構成についてざっくり説明させていただきます。
図 論文の構成

 第2章では、九鬼周造氏の「日本詩の押韻」を主な関連資料としてヒップホップミュージック輸入以前の文学における日本の「押韻」の変遷を辿り、「押韻」を再解釈しました。日本で「押韻」は定着しませんでしたが、文学で活用するための試みは何度かされていきました。「日本詩の押韻」では、日本の「押韻」の歴史的事例と欧米言語の韻表現の事例から、日本語詩における「押韻」発達の可能性と採用のための考慮について論じられています。

 第3章では、「押韻」の再解釈から、ヒップホップミュージック輸入後の「ライミング」発展の変遷を読み解き、従来の「押韻」と日本語ラップにおける「ライミング」の架橋を試みました。九鬼氏の「押韻」の解釈を日本語ラップの「ライミング」の変遷に当てはめることで、日本語での韻を踏むことの共通点、また「押韻」に対する「ライミング」の発達における有利な点を得ることができました。
 第4章では、欧米言語、特に英語におけるライミングの事例をサーベイし日本語での「ライミング」を明らかにしました。これにより、文化の違いや言葉の性質の違いによる「ライミング」への影響を示すことができました。

ここまでで

・日本語の「押韻」の歴史的変遷の整理
・欧米言語におけるライミングのサーベイ

以上2つのアプローチにより研究目的(日本語における「押韻」の歴史的な変遷・現状と,現代の 日本語ラップにおける「ライミング」のありかたを架橋すること)を達成することができました。第5章では、さらに、「ライミング」に対する一般的な実情を捉えるために基礎調査を行い、第6章ではここまでの結果を踏まえ、「押韻」と同義とされている「ライミング」の再定義を行いました。

 今まで文学で定着しなかった「押韻」と、日本語ラップで発達した「ライミング」を結びつけて体系的に論じられる研究はされてきませんでした。本研究は韻を踏む表現を獲得した「ライミング」について論じたもので、今後の日本語表現拡張の一助になると考えられます。
また、みなさんにとって馴染みのない「ライミング」というものを再定義することで、「ライミング」の鑑賞、制作を助ける客観的価値を共有することができたと考えられます。

 私の研究は参照している事例も多く検証の一つ一つをブログで紹介することは難しいのですが、2/12~15まで行われるネットワークデザインスタジオ卒業・修了制作展2016に可能な限り在駐するつもりですので興味のある方は話しかけてください。お話しましょう。
ご来場よろしくお願いします。




最後に私は2009年に首都大学東京のインダストリアルコースに入学し、今年大学院を卒業するので、大分長い期間在籍していたことになります。特にネットワークデザインスタジオにはお世話になり、

ナガサキ・アーカイブ
沖縄平和学習アーカイブ
START ON AIR!
アチェ津波アーカイブ
佐賀・肝炎マッピング

と多くの活動携わり、様々な経験を得ることが出来ました。
ネットワークデザインスタジオではインターネットの力で人を動かすこと、もっと根本的には人と人とのつながりで社会に影響を持てることを一貫して学ぶことができました。
卒業後は、インターネットのお仕事をすることになっています。ネットワークデザインスタジオの経験が活かされる職場だと思います。
今まで、真摯にご指導していただいた渡邉先生、プロジェクトを共にした仲間にこの場を借りて感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

以上!したっっっっっっ!!!!!