渡邉英徳・中田千彦
「325km × 3日」を越えるコラボレーション
■課題主旨
近年、インターネットサービス、ソーシャルツールの急激な普及により、距離や時間を隔てた相手とかんたんに会話を交わし、創造的な議論を行えるようになってきました。
例えば今年度、首都大学東京の渡邉英徳研究室で手がけた「Nagasaki Archive」「アースダイバーマップbis」などのネットアート作品は、メールやTwitterなどのネット上の出会いをきっかけにしてスタートし、ネットサービス・ソーシャルツールをフルに活用して完成に至っています。
とはいえ、いまだに対面でのコミュニケーションは重要です。前述したふたつのプロジェクトも、実際に顔をあわせたミーティングを何度も重ねることで、意思疎通を図りつつ進捗しました。これには”会おうと思えばいつでも会える距離”のメンバーで取り組んだことが大きく影響しています。
さて、首都大学東京と宮城大学の共同ワークショップも今年度で三回目です。これまで(2008年、2009年)は共通のお題をもとに、首都大VS宮城大での共作を行うかたちで進めてきました。多数の興味深い作品が生まれましたが、反面、二大学の共通課題でありながら、両大学の学生たちのコミュニケーション、コラボレーションはほとんど生まれていません。
そこで今年度は、首都大学東京(東京都日野市、金曜日開講)と宮城大学(宮城県黒川郡、火曜日開講)による”「325km×3日」を越えるコラボレーション”をテーマとします。両大学の複数名でチームを組み、ネットサービス・ソーシャルツールによるコミュニケーション、Second Life上での共同作業を展開し、お題「デジタルデバイドを解消する空間」に応えてもらいます。
首都大と宮城大。かなり気合とお金を掛けないと学生同士で直接会うことはできない距離です。しかし逆を言えば、時と場所を問わないインターネットの威力を存分に発揮できる距離でもあります。また、今回主な制作プラットフォームとして用いるSeccond Lifeは、アバターを介したリアルタイムの会話や共同作業を容易に行える仮想世界サービスです。”積極的に対面しない”ことにより、どのようなコミュニケーション、コラボレーションが生まれるのか。おおいに期待しています。(渡邉英徳)
■作業内容
- 首都大・宮城大の学生同士(両校から複数名)でチームを組む。
- Twitter、Skype、Google groupsなど、ネットサービスを活用し、お題「デジタルデバイドを解消する空間」に答えるべく議論する。この議論のログは可能な限り保存しておくこと。
- Second Life上で、各チームに割り当てられた区画に、「お題」に対する回答を提示する。オブジェクトなのかインタラクションなのか、回答の形態は問わない。上記のログも素材として用いてよい。
- 最終プレゼンテーションは各校において行う。Ustreamで中継予定なので、Twitter等を用いてお互いにツッコミを入れてもよい。というか大歓迎。
10/1 首都大:初回講義 課題説明、Second Lifeの解説
10/5 宮城大:初回講義 課題説明、Second Lifeの解説
~中間工程については随時連絡。~
11/9 宮城大:作品レビュー会
11/12 首都大:作品レビュー会 (一週間延ばしました)