性的少数者に向けた、セクシャリティ非限定型コミュニティの形成


B4の長濱です。

研究発表も学内展も終わり、四年生としての活動も残すところ学外展のみとなりました。
あれもこれもと忙しかった仕事がだんだん減ってきて、いよいよ大学を卒業するという実感が湧いてきました(実は卒制カタログ委員の仕事がまだ残っていますが…)。

それでは恒例の研究紹介と後輩への言葉を、僕からも書かせていただこうと思います。



研究テーマは『性的少数者に向けた、セクシャリティ非限定型コミュニティの形成』です。

セクシャルマイノリティ(性的少数者)とは、心の性・体の性・性的指向などにおいて、多くの異性愛者(ストレート)とは異なる性のあり方をもつ人々の総称です。性的少数者の中でも代表的なセクシャリティであるLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)の割合は、人口の5.2%という調査結果も出ていますが、その反面「LGBTの知り合いがいる」と回答する人は全体の10%ほどです。これだけでも、セクシャルマイノリティがいかに視えにくい存在であるか、孤立しやすい存在であるかが分かると思います。



*電通総研LGBT調査2012 (http://dii.dentsu.jp/project/other/pdf/120701.pdf) より

私は性的少数者の当事者同士のつながりの重要性に着目し、当事者同士のコミュニケーション促進を研究の目的としました。

当事者仲間を見つける為の手段には、近年増えつつある大学生LGBTサークルや、NPO法人によるLGBT若者向けの友達作りイベントなどがあります。一方で、WEB上のコミュニティとなると、マッチングアプリなど、恋愛や出会いを目的としてセクシャリティが限定・個別化したものばかりで、中高生のユーザが安心して友達を作れる環境が不足しています。

それを受けて当研究のテーマを「性的少数者に向けた、セクシャリティ非限定型コミュニティの形成」とし、当事者同士をむすぶ『LGBT class』というSNSの提案と、そのプロトタイプを用いた検証を実施しました。

『LGBT class』は、セクシャリティを限定せずに、性的少数者のコミュニティを作るSNSです。同世代のユーザが集い、L、G、B、T、またはそれ以外のセクシャリティが垣根を作らずに交流すること、それによって既存のSNSでは得られなかった人間関係を築くことを目的としています。



検証はOpenPneを用いて作成したSNSサイト上で実施しました。性的少数者の大学生11人にアカウントを作ってもらい、こちらが立てたトピックに関する会話を1週間続け、終了後に感想や意見をアンケートで収集します。「普段使うSNSと違い、真面目な話ができるのが魅力だった」「LGBTすべてを対象としたSNSなら、当事者同士がお互いをより幅広く理解できるようになると思う」などの感想があり、当提案の有用性を支持する意見を得ることができました。

以上が研究のまとめです。


〜これから渡邉研に所属するみなさんへ〜

この研究室を希望した時点でこのテーマは頭の中にあったのですが、実は途中までは全く別のテーマ(著作権とか)を進めていました。セクシャルマイノリティという、あまり普段意識されない問題を扱うことにまだ抵抗があったのです。
ですが7月あたりにようやく決心がつき、渡邉先生ともしっかり相談した結果、研究テーマを変更しました。今では、モヤモヤしながら研究するよりも本当にやりたいこと、気になっていることに取り組んで本当に良かったと思っています。
来年のB4には数人会いましたが、いい意味で我が強い人が多いような気がして(素晴らしいことだと思います)、また研究室が面白くなるんじゃないかなと思います。
自分のやりたいことが決まっている、見えている人がいたら、ぜひそのテーマに取り組むべきです。
迷っていたら、渡邉先生をご飯にでも誘って(笑)、熱く語ってみるのも良いと思います。
がんばってください。