展示内容紹介ブログも終盤に近づいて来ました。
私で学部生の投稿は最後です。次以降は修士のみなさんによる紹介になります。
12日まで引き続きよろしくお願いします。
私は、
公的データを用いた被災地復旧の経年変化の可視化手法について研究しました。
この研究を始めようと思ったきっかけは、
ハンス・ロスリングのTEDtalkを見たことでした。
この映像の中で、彼は壇上から3択問題を投げかけます。
世界の貧富の差や、健康福祉の格差の現状についての問題です。
会場の人々は、
ほとんどの問題で選択肢の中から
もっとも状況を悪く描写したものを選びます。
しかし、その問題の正解(=現状)は、
もっとも状況を良く描写したものでした。
これを受けて、
ハンス・ロスリングは
「世界の貧富の差や健康福祉の格差に関して、
多くの人々は世の中のことを現実よりも悪い状況に捉えている。」
「最悪のところを基準に考えていて、多数派を見落としている。」
と言います。
私も、会場にいる 人々と同じ選択肢を選び、
彼が指摘するような思い違い・勘違いをしていました。
私はこの体験を通して、
私たちが今まで
格差の是正や支援を喚起する手法 として
格差の程度や支援が行き届いてない事柄を強調することで
人々に強く認識させ問題意識を持たせるという手法 をとってきたため、
悪い側面に関する情報ばかりが強く記憶に刻まれ、
現状を正しく把握出来なくなってしまったのではないかと考えました。
この気づきから、
私たちにとって一番身近である東日本大震災復興支援に関して
正しい理解を促す、現状を伝える手法について研究しました。
正しい理解を促すために、
・未整理のデータを
経年変化が分かるようにまとめる
・今までの側面と
対になるポジティブな側面にも目が行くようにするこの二点を実現させるコンテンツを制作しました。
データは、
復興庁「復興の現状と取り組み」
2014年1月~2015年11月
復興庁「全国避難者等の数」
2011年8月~2015年12月 のPDFデータの中から数値化できる情報を抜き出し、
年次ごとにまとめられているデータを内容ごとに再整理し、時系列ごとに並べ、
いままでの経過が追えるようにまとめました。
まとめたデータを利用し、2011年から2015年までの経年変化が
一目で分かるようなWEBコンテンツを制作し、今回展示しています。
この作品を通して、
正しい理解を促し、復旧・進捗した点の経年変化を伝えることで
未復旧・停滞している点についても意識させることが出来ればと思います。
私の作品の他にも、
先生の作品を含め11作品が展示されています。
ぜひご来場ください。
首都大学東京ネットワークデザインスタジオ2016年
卒業・修了制作展 mix juice