「出征兵士の足どり ─新潟県長岡市から─」デジタルアーカイブ 公開のお知らせ

東京大学大学院情報学環 渡邉英徳研究室(プロジェクト代表:三上尚美 大学院生)は、長岡戦災資料館・長岡市立中央図書館文書資料室の協力のもと、ストーリーテリング・コンテンツ「出征兵士の足どり ─新潟県長岡市から─」デジタルアーカイブを12月8日に公開しました。長岡市出身の出征兵士10名の足どりをデジタルマップ上で可視化するとともに、家族へのインタビュー記録を、ストーリーテリング形式で表現するものです。

「出征兵士の足どり ─新潟県長岡市から─」デジタルアーカイブ (画面イメージ)

長岡戦災資料館におけるインタビューのようす


背景・コンセプト

地域において、空襲などの象徴的な戦争体験以外の「地域の戦争の記憶」はどのように継承できるだろうか。プロジェクト代表の三上尚美(東京大学 大学院学際情報学府 修士2年)は、修士課程入学前からその「問い」に向き合ってきました。そのなかで、全国どの地域にでも存在し得る「出征兵士の記憶」が、そのきっかけとなりうるという着想を得て、本学において本デジタルアーカイブの制作を開始しました。

この「地域の戦争の記憶」継承の最初の実践フィールドとして、新潟県長岡市を選びました。戊辰戦争と長岡空襲で2度の復興を経験した長岡市は、地元の歴史継承の土台がある地域です。さらに、姉妹都市のホノルル市との平和交流など、空襲被害に留まらない多角的な視点から歴史を捉え、「長岡から平和を届けよう」という想いが根ざす地域であることが理由です。

実践は、長岡市史双書No.27『証言-市民の戦場体験』(長岡市・1994年)を原典とした、出征兵士の足どりの可視化・アーカイブ化からスタートしました。COVID-19による行動制限が緩和された2022年度以降は、長岡市における出征の当事者・その家族を対象とした対面のインタビューを開始し、ストーリーテリングに組み込んでいます。

これまでデジタルアーカイブの制作には、デジタルスキルを持つ人材が必要でした。本研究では、地域の戦争の記憶の継承のモデルとなることを企図し、ノーコード(プログラミングなし)でデジタルアーカイブを制作可能なプラットフォーム・Arc GIS Onlineを利用しています。これにより、各地域において、誰もが地域の戦争の記憶の継承に携わることができます。

概要