こんにちは。2026年3月24日に晴れて博士となった、渡邉研の金甫榮(キム・ボヨン)です。学位授与式の後、しばらく放心状態になっていましたが、ようやく落ち着いてきたので、長いようで短かったこの5年間を振り返ってみたいと思います。これから博士課程への進学を考えている皆様にとって、少しでも参考になれば幸いです。
進学を決めた理由
私が博士課程への進学を決めたのは、日々の人生に少し退屈さを感じていた頃でした。世の中はコロナパンデミックの真っ只中で、これまでにない困難な状況に陥っていた時期です。私はもともと、アーカイブズ学で修士号を取得し、修了後もさまざまな研究活動を続けてきました。その中で、一つの専門領域にとどまらない学際的な研究への興味が次第に強くなっていったことが、大きな転機となりました。かつて仕事をしながら修士号を取った際、そのあまりの大変さに「二度と論文は書きたくない」と思っていたはずなのですが、学問への好奇心が再び私を突き動かしたのです。
入学試験について
ここで少し、これから進学を考えている方のために試験についても触れておきます。 私の時の入学試験は筆記試験がなく、書類選考、英語、そして面接という形式でした。特に重視されたと感じるのは、面接における研究計画です。博士課程において、自力できちんと研究を完遂できる能力があるかどうかが厳しく問われた気がします。これから受験される方は、自身の研究の意義と遂行計画をしっかりと言語化しておくことをお勧めします。
入学後の日々
赤門の八重桜を眺めながら研究室に向かった初日のことは、いまだに鮮明に覚えています。再び学生になった気分を楽しみつつも、「人生最後の大きな挑戦だ」と襟を正す思いでした。
渡邉ゼミは非常に自由で活気があり、常に色々な研究プロジェクトやイベントが動いていて、先生も院生も多忙な環境でした。私も必要な単位を早めに取り終え、博士論文を書くための条件をクリアするために、国際会議での発表やジャーナルへの論文投稿など、目の回るような忙しい日々を過ごしました。
中央図書館&コモンズ
研究室は赤門や中央図書館に近く、研究に没頭するにも息抜きをするにも恵まれた環境でした。夜遅くまで図書館で過ごし、帰り道には何度も灯りのついた図書館を写真に収めました。夜闇に浮かぶ美しい図書館を眺めていると、1日の大変さがすっと報われる気がしたものです。
また、学際情報学府の学生が24時間使える「コモンズ」も、私にとってとても好きな場所でした。自由に飲食やディスカッションができるオープンなスペースでありながら、一人で研究に没頭するのにも快適で、いつ行っても心落ち着く空間でした。特に、夜遅くや早朝に独り占めしている時のコモンズは、この5年間の中で最も深く記憶に残る風景であり、私自身の心を強く支えてくれた大切な居場所でもあります。
挫折を味わう
しかし、研究道は平坦ではありませんでした。ジャーナル投稿では運悪く通常の2倍の審査期間がかかったり、狙っていたジャーナルで不採録となったりと、大きな挫折も味わいました。査読者への回答書が20ページに及んだこともあり、自分の持っている以上の力を振り絞って戦い続けました。
結果が伴わなかった時は無惨な気持ちにもなりましたが、すでに長い時間が過ぎており、くよくよしている暇は許されません。心機一転してすぐに別のジャーナルへ投稿し、なんとか博論を書くための条件をクリアしました。入学してから3年半が過ぎた2024年5月に一次審査を受け、ようやく博論の執筆がスタートしました。
博論との戦い
やはり、博士論文は手強い相手でした。全体の構成を考えるだけで何ヶ月も過ぎていきました。筆が進む日もあれば、一日中パソコンと格闘しても2、3行しか書けない日もあります。仕事の関係でしばらく執筆から離れてしまうと、どこまで書いたかを思い出すだけで1日かかってしまうことも多々ありました。それでも歩みを止めず、2025年6月に予備審査を受け、なんとか合格をいただくことができました。
最終審査会後の涙
最終審査会はオンラインで行われました。40分の発表の後に、1時間強の質疑応答があります。審査の途中は極度の緊張から頭が真っ白になり、自分が何を言っているのかわからなくなる瞬間もありました。その後、審査が行われ、結果はその場で知らされます。無事に審査を終えたという安心感よりも、研究者として生きていくための厳しい洗礼を受けたような気持ちでした。2時間に及ぶ最終審査会が終わった後、緊張の糸が切れて突然涙が溢れ、一人で号泣したことは一生忘れません。
学位授与式の日
そして迎えた学位授与式の日は、朝からワクワク、ソワソワしていました。この日つくづく感じたのは、学位を取得した自分自身の喜び以上に、苦楽を共にした仲間の存在の大きさです。日々の忙しさの中で意識する余裕はありませんでしたが、励まし合える仲間がいたからこそ、この過酷な5年間をくぐり抜けられたのだと確信しています。
最後に
最後に、5年間ご指導くださった渡邉先生に深くお礼を申し上げます。また、ご参考までに私が博論を書き上げるまでのスケジュールを記録として残しておきます。
2021年4月:博士課程入学
2024年5月:一次審査(執筆資格の確認)
2025年6月:予備審査(ドラフト版提出)
2025年12月:博論提出(完成版提出)
2026年1月:最終審査(ディフェンス)
2026年3月:学位授与式