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『ツバル滞在を終えて』

wtnv注:以下、渡邉研究室4年の鈴木真喜子さんによる出張レポートです。


2009年7月5日に日本を離れ、18日間ツバルに滞在させていただきました。
目的は『ツバルの写真・映像を撮影すること』です。

きっかけは研究室のNPO法人tuvaluoverviewさんとの共同研究です。
テーマは『3D空間にツバルのアーカイブを作ること』。
教授は資料収集とはいえ、長期間海外に滞在することは難しいとのことで、私が先行調査をすることになりました。

7月7日午後、フィジーからの国際便に乗りながら、ツバルの首都フナフチ環礁フナファラエ島の滑走路を空からビデオで撮影していました。ところがいつまでたっても着陸しません。
飛行機のアナウンスは「犬が滑走路に遊びに来たため着陸できません。」
二度目の着陸態勢をとったときも「またもや犬が滑走路に着陸できません。」
機長の笑いながらのアナウンス。これが最初のツバルでした。

この日はこれから16日間お世話になるホームステイ先へご挨拶をし、半日体を休ませていただきました。
晩御飯はお米と生のカツオの塊。ご家庭がfishiermanとのことで、日々のおかずは魚になりそうです。実際のところ、たまにカレー粉は使いつつも、毎日魚でした。

8日からは研究室独自の資料収集とtuvaluoverviewさんとの共同研究のフィールドワーク、さらには自身の映像撮影に日々終われました。今回はプライベートで訪れているのではなく、研究室の代表としての訪問です。正直なところ、日々プレッシャーと焦り、不安に駆られました。時間のないゆったりとした南国に仕事として飛び込む一種の矛盾。遊びで楽しむのではなく、仕事で愉しもうと心に決めました。

研究室のための資料収集、つまり大量の視覚情報の収集では以下のような手段をとりました。
1フィルターをのぞかずただただ連続撮影。主観は入れない。バイクを運転しながらひたすら島の写真をとり続けました。
フナファラエ島の北から南、全ての道をカメラに収めました。

2人とすれちがったら撮影。
 私は人が、島や文化を創っていると考えています。島を創っている人をフィルターを通してでも覗くことで風景とは異なるナニカが伝わ  ると考えました。

3ビデオによる定点撮影。後に先生からこの手法を教えていただいたのですが、普段とは違う視点から撮影をすることによってより第三者的な見解をもつ資料になります。
人がもっとも集まる日曜日10時教会前、たまにしか来ない貨物船をみんなで待つ港、どこにでもある道、ごみ処理施設が無くごみに溢れてしまった島の北。どれもとても貴重なツバルの資料になると思います。

4空
研究室の仲間から空の写真が欲しいという意見をいただきました。正直なところ、私はツバルの空も日本の空も変わらないと感じます。
夜になれば南半球と北半球の違いで星座の種類や星の瞬き方も異なるのですが、昼間は同じ層雲、積乱雲でした。
ですが、ひとたび椰子の木の葉が視界に入るとそこは南国の島・ツバルの空です。
雲や宇宙はどこでも同じですが、植物と共にあるツバルの空はツバルでしか撮影できません。
空の写真をツバルの北から南まで連続撮影をしてきました。

5photosynth用の高密度撮影

上記のようにまとめるとあっさりして見えますが、集めた写真の数は5000枚を超えました。
途中、データエラーにより、GPS情報が欠けてしまった写真もありますが、今後の作品製作において撮り残しはないと思います。

6研究室メンバーからの要望
・伝統民家
・地面のテクスチャー
・滑走路で寝ている人
・土着の人にカメラを渡して撮影してもらう
・スコールの映像
・空
・音がなったら撮影
・ツバルの楽器や踊り
・お店やレストラン
・生活観のわかる写真

上記10個の要望の中、残念ながら「音がなったら撮影」だけはできませんでした。なぜなら、音が鳴り止む時が無いからです。
ひたすらにぎやかで陽気な町でした。

一方、tuvaluoverviewさんとの共同研究のフィールドワークは主に『ツバルに生きる一万人の笑顔』のインタビューでした。
自身が今後、他国でデザイナーとしてフィールドワークをしていきたいと考えているので、とても勉強になりました。
また、ツバルと長く付き合っている遠藤さんに同行させていただくことによって、ツバルに生きる人々の心からのメッセージやもてなし、文化を体験することができました。
同行を望んだ理由のひとつに、、研究室で『ツバルに生きる一万人の笑顔』のgoogleearthデザインを担当させていただいていることがあげられます。
このフィールドワークで感じたものを今秋公開の共同作品に活かしていければと感じております。

自身の映像資料収集は上記2つとは異なり、ひたすら自身の主観による撮影を行いました。
『面白い』と感じたら体当たり取材。私にしか出来ない、私の感じたツバルを収めました。

以上がツバルの出張報告です。
以下、私がツバルの文化、風習、雰囲気について感じたことを綴りたいと思います。

ツバル行かせていただけると先生から報告を受けたとき、まず考えたことは先入観を持たずに行かなくてはということでした。
もちろん、歴史や宗教、人口などの基本的な情報は頭に留めましたが。
先入観を持たずにいくと、文化になじみやすくなります。興味ある分野だけではなく、幅広く、文化を「こういうものか」と考えることが出来、色々な出来事を受け入れやすくなります。
(虫と日焼けだけは徹底的に対策しましたが。)

ツバル人は本当によく食べ、よく歌い、よく寝ます。。
客人が現れるととりあえず、『食え、食え、食え。』
これは彼らにとって最高のもてなしです。
「マコナ(満腹)」という言葉を最初に学びました。
そして家族愛がとても強い国とかんじました。

面白かったのは若者の姿勢です。
ナイトクラブに毎週行くようなヤンキーが、家事手伝い(ご飯を作ったり、子供の面倒をみたり、洗濯物を干したりしています。

正直、私が訪れた17日間、ほとんど代わり映えはしない毎日でした。
1週間もいると、道路のつながりやお店の場所もほとんど覚えてしまいます。
ですが、彼らは日常に笑いを見つけるのが上手でとても生き生きとすごしています。

飽きもせず。20年間同じ場所同じメンバーで毎日夜中に集っては歌っているそうです。
ツバルに滞在している間、彼らの歌声が子守唄でした。

そして私はたちとは価値観がとても異なると思います。
飛行機が遅れても『あらあら』。
日本人があたふたしていたら『クスクス。』
質問しても答えは『なんとなく。』

生活において、時間や仕事に重点を置いている日本と、ゆらりと仲間で集って歌うこと、お祭りに重点を置くツバル。

この地を散策して初めて、日本がこの国に多くの援助をしていることを知りました。
港の工事、海岸の堤防の調査、そして発電所の建設・援助などです。

私にはこれらの建設が実際にツバルでどのように思われているか、詳しくはわかりません。

ですが痛感したことがあります。
最近、CSRという言葉が持て囃されていますが、果たしてそれは本当に相手のことを考えているのでしょうか。

ありとあらゆる国にコンピュータなどのハイテク技術を持ち込もうという姿勢があります。
さまざまな建物を建てます。
インフラを整えます。。。

確かに私たちの視点からみると暮らしは楽になるかもしれません。
でも彼らにも彼らの数百年培ってきた文化、風習が存在すると思います。

CSRやODAがどのような目的・いきさつで国を選択し、活動しているのかはわかりません。

ですが、その過程でディスプレイ上ではなく、彼らの誇りと尊厳を軸に検討していって欲しいと感じました。

私がツバルの最も好きなところは、『誇り』を感じられることです。
『ツバル・スタイル』を堂々と生きているように感じられました。
ホームステイさせていただいた家の娘さんは、『一生ツバルにいたい』と言います。
私は日本人であってツバルの人間ではないけれども、その一言がとてもうれしく感じられました。

彼らに適切な、彼らの暮らしを壊さない関係性を気づいていくことが大切と感じました。

ツバルは地球温暖化の影響で最初に海の中に消える島と言われています。
この情報が定かかはわかりません。

ですが、少なくともツバルという島にlivingが存在していて、彼ら自身も彼らの島がなくなるかもしれないというニュースを知っています。
私が今、地球のことを考えてスーパーの袋をもらわないとか、冷房の温度を上げるなどしても地球が変わるとも思えませんが、『生活の無駄』ということは日々常々考えて生きたいと思います。
『自身の無駄な行為』から悲しむ人が生まれるのは虚しいですから。

地図の上から人を見るのではなく、人がいるから地図があるということを考えさせられました。

最後になりましたが、ツバルでお世話になりましたtuvaluoverview遠藤さん、綱島さん、ホームステイをさせていただいたスワマリエ一家、いつもお邪魔したアピネル一家、他ツバルで言葉を交わした皆様にこの場をお借りして感謝の意を述べさせていただきます。
FAFETAI LASI.


(鈴木真喜子)

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首都大学東京 渡邉英徳研究室は,株式会社ほぼ日と共同で,AR 地球儀「ほぼ日のアースボール」をベースとしたマッピングコンテンツの研究・開発を進めてきました。

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■本研究開発の担当者
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週報180126 好評のほぼ日アースボールと佳境の論文

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案の定、お約束のように帰り道に転び、左の膝は青あざになっています。 残念です。 M1の與那覇です。




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首都大学東京渡邉英徳研究室とのARコンテンツ共同研究・開発のこと。https://t.co/7xEmHH41Ga#ほぼ日のアースボール#ほぼ日 — ほぼ日刊イトイ新聞 (@1101complus) 2018年1月22日とても好評で、みんな喜んでいます。


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ほぼ日アースボールコンテンツ「昼夜の移り変わり」こぼれ話

ご無沙汰しております。修士1年の山浦徹也です。
約1年ぶりのブログ投稿です。


先週の3月2日、ほぼ日アースボールの共同研究コンテンツ第二弾「昼夜の移り変わり」がリリースとなりました。
自分がメインで担当していたこのコンテンツは、地球の昼と夜がどう変化していくのか、季節によってどんな違いがあるか、アニメーションによって表現したコンテンツです。
↓詳細は是非こちらでご覧になってください。(ほぼ日さん記事)
コンテンツ紹介_010「昼夜の移り変わり」編

およそ半年かけて、どのような方向性・内容にするか、ほぼ日さんとやり取りを通して、色々と揉んできました。そこで、今回はそういったこぼれ話的なことを、少しばかり書いていきたいと思います。

まず、はじまりのアイデアダンプで自分が制作したのは、10秒ほどで昼夜が一周切り替わるコンテンツでした。あっという間の10秒…。
糸井重里さんが口にしたのは「もったいないね、もっとじっくり見てみたい」の言葉でした。
それはまさしくその通りで、早すぎると切り替わりの動きを追うだけで終わってしまうのですよね。
細かいところまで見てもらうにはどうするか。
様々な時間で試した結果、良い塩梅に見られるのは1分程度であるという結論に落ち着きました。
そこからさらにどういった表現ができるか、模索していく段階でいろいろなアイデアを試しては、消えていきました。太陽にまつわる詩を一緒に流してみたり、夜空にオーロラを浮かべてみたり…。
紆余曲折を経て、最終的に、四季で異なる昼夜の切り替わりを表現するコンテンツに落ち着いたわけでございます。
ほぼ日さんの尽力もあり、本当に良いコンテンツをリリースすることができました。

色々と書いてきましたが、百聞は一見に如かずです。
是非、ダウンロードして、実際に見てください。
地上を離れて、ずっと大きな視点から、くるくると回る地球のメカニズムを楽しんでいただけたら幸いです。

先にリリースされた共同研究コンテンツ第一弾「でこぼこ地球」も合わせて楽しんでくださいね!


「記憶の解凍」国際平和映像祭2018にて学生部門賞を受賞

広島女学院高等学校2年生の庭田杏珠さんと,首都大学東京大学院2年の山浦徹也君が共同制作した映像作品「記憶の解凍:カラー化写真で時を刻み、息づきはじめるヒロシマ」が,9月22日にJICA横浜で開催された「国際平和映像祭(UFPFF)2018」の最終審査の結果,学生部門賞を受賞しました。受賞者は,ニューヨークの国際連合本部で11月に開催される「PLURAL+」の授賞セレモニーに招待され,作品上映とプレゼンテーションの機会を与えられます。


この作品は,2010年より渡邉英徳研究室と広島女学院高校が共同で取り組んできた「ヒロシマ・アーカイブ」の活動から派生したものです。昨年秋に首都大学東京で実施したワークショップにおいて,庭田さんたちは自動色付け技術を学び,それを活かした「カラー化写真をベースにした被爆証言の聞き取り」の営みをスタートしました。この活動を通して生まれたコンセプトが「記憶の解凍」です。


この映像作品では,現在は広島平和記念公園となっているかつての繁華街,旧・中島本町で暮らしていた濱井德三さんの記憶,そして生徒さんたちとの交歓,未来への希望が,スライドショーと音楽で表現されています。庭田さんが原作・脚本,山浦君が映像化を担当しています。ぜひ,ご覧いただければ幸いです。

「基礎ゼミナール」最終発表

全学一年生対象の講義「基礎ゼミナール」の最終発表会を7/8に行いました。



私は昨年の着任以来はじめて担当したのですが、いや実に楽しかった。こんなに楽しいのがわかっていたなら、昨年から担当したかったかも。お題は「近未来のインターネット環境におけるプロジェクト立案」でした。中間発表会の記事はこちら

幸か不幸か濃いメンツが多いクラスで、個性の強い案が出そろいました。一年生離れした構想力や一貫性、そしてプレゼン力を感じることもありました。このきらめきを喪わないまま学年を進んで欲しいものです。受講生の皆さん、アシスタントとして参加してくれた鈴木(真)さん、清水要くん(from 笠原研究室)、おつかれさまでした。全員、今後の糧にしていってください。(wtnv)

以下に全チームの発表資料を載せておきます。(まだ未提出のチーム分は随時載せます)Google Docsにコンバートした時点でレイアウトが若干崩れています。











デジタルアースを用いたドローンマップ&アーカイブによる風景資産の活用

こんにちは!B4の渡邉康太です。
1年間の締めとして、卒業研究について紹介します。


卒業研究
「デジタルアースを用いたドローンマップ&アーカイブによる風景資産の活用」
このテーマで1年間研究・制作をおこないました。

ちなみに、皆さんは「ドローン」をご存知でしょうか?
知らないという方のために少し説明します。



ドローンとは無人航空機のことを指します。
定義を書くと長ったらしくなってしまうので割愛します(笑)

測量や農業、配達など様々な分野でドローンの活用・研究が進んでいます。
テレビでもドローンによる空撮映像がよく見られるようになりました。
これらに加えて、町おこしにドローンを活用する地域もあります。
その代表的な地域が徳島県那賀町です。

那賀町ではドローンを使って以下の取り組みをしています。
・ドローン体験会(11月に自分も参加させていただきました)
・林業への活用
・鳥獣被害対策
・実証実験
・那賀町ドローンマップの配布
・空撮アテンド



「那賀町についてさらに詳しく!」という方は是非こちらもご覧ください。
那賀町ドローン推進室
2017年11月の週報(那賀町でのフィールドワークまとめです)
※クリックで各ページにとびます

自分は那賀町の取り組みの中でも「那賀町ドローンマップ」と「空撮アテンド」に着目しました。



那賀町ドローンマップには風景が綺麗で飛行可能なスポットがまとめられています。
紙媒体なので、誰にでも利用可能です。
一方で、周辺情報の詳細さ、ドローンに適した情報配置に課題が残ります。
これらの課題解決を通して、ドローンマップ&アーカイブによる風景資産の活用を検討します。


手法周辺の地形やドローンの高度を表現するためにデジタルアース版ドローンマップを制作しました。
組み込んだ機能は主に3つあります。

1つ目は現地で撮影した全天球画像を球体外側に貼り付けて表示する機能です。
球体をまわしながら、周辺の状況を確認することができます。

10年の学生生活とその集大成

こんにちは。
ブログの書き方を忘れてしまったインダス2期生の高田百合奈です。

学生は、つい先日研究発表を終え、卒業生は、本日までの学内展や今後開催予定の学外展の準備で、慌ただしく活動しております。
この光景を毎年眺め、気付けば早いもので10年以上大学生活を送っていました。
研究室の在籍期間で言っても、もう8年目ですね。
そんな私は、去年の9月末に無事博士号を取得し、10年半の学生生活に終止符を打ちました。
現在は渡邉研究室の特任助教として在籍しております。
久々に研究室ブログを書くため、冒頭の挨拶でなんと名乗ろうか迷い、結局「2期生」という表現にしてみました。

本日は、学生生活の集大成と言える博士研究の報告と、振り返って思うところを少しばかり綴っていきたいと思います。

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さて、少し時期が遡りますが、去年の8月末に、
「道に迷う複合的要因からアプローチするナビゲーションシステムの研究」
というテーマで、博士研究の公聴会を開催しました。
お越し頂いた皆さま、ありがとうございました。
この研究テーマは、学部生の卒業研究から続いており、これまでに関わったプロジェクトも複数関連しているので、そう言った意味でも、学生生活の集大成と言えるものになりました。


*論文製本して、ちゃんとかっこよくなりました。
学部生時代に抱いた、

「地図という便利なツールがあるにも関わらず、なぜ道に迷ってしまう人(私)がいるのだろうか・・・」

という疑問から、「人はなぜ道に迷うのか」をテーマに研究を進め、今日に至ります。
自分の身の回りのことから生まれたテーマ、言わば、自分のための研究でした。
研究を進めるにつれ、心理学や建築学、脳科学など多岐に渡る分野と関連しているとわかり、それらの知見を繋ぐナビゲーション方法を考察し、開発まで行うことができました。


*開発したアプリの画面の一部。ユーザの方向感覚の診断結果によって、地図の表示パターンが変化します。
ここまでの研究成果は、博士研究という1つの形としてまとめ上げましたが、まだまだ実装したいこと、展望として構想していることが残っています。
これらを実現することを、今目に見える目標の1つとして掲げ、研究者としての一歩を踏み出したいと思います。

また、博士研究の中で、多分野に目を向けられたことや、渡邉研究室に所属して以来、数多くのプロジェクトに関わらせて頂いたこと…