観光地における防災当事者意識向上のためのイベントの実践 -静岡県下田市におけるケーススタディ-

修士2年の井口香穂です。
今回は初投稿ということで、簡単に自己紹介をしながら私の修士研究について紹介させていただきたいと思います!

私は首都大学東京の建築都市コースに4年間通い、学部4年のときには「防災まちづくり」や「震災復興」に取り組む研究室に所属していました。

大学院に進学するにあたって、防災分野の抱える課題に対して自分なりのアプローチで提案やものづくりをしたい!という漠然とした考えをもっていたのですが、ピンとくる進学先がなかなか見つからず悩んでいました。

そんなタイミングで偶然ネットワークデザインスタジオに出会い、ここだ!とほとんど直感で進学を決断しました。(30分くらい悩みました)

それから2年間この研究室に在籍し、防災分野の課題へのアプローチ手法として選んだのが、「防災イベント」です。


地域の防災活動は一般的にかたく、つまらないイメージがあったり、防災意識の高い人や行政中心に行われたりしていて、防災にあまり関心がない人や、参加経験がない人にとって参加のハードルが高いのが現状です。

そこで、私は「楽しく気軽に参加できる」防災イベントに着目し、防災イベント「遊ぼう祭2016」の実践と検証を通して、地域の防災活動や災害に関心を持つきっかけの場となる手法の検討を行いました。

▼「遊ぼう祭2016」WEBサイト
http://asobousai.info

「遊ぼう祭2016」の実践を行った地域は、静岡県下田市です。
下田市は、伊豆半島南部にある海水浴や温泉といった観光資源の豊富な観光地です。それと同時に、南海トラフ地震による津波被害など大きな災害が想定されている地域でもあります。一方で、地域の防災活動への参加率は低く、現状を課題に感じていた地域住民の方々とイベントを企画することになりました。

イベントの準備は2015年の冬から始まり、イベントのコンセプトや開催するプログラムの検討、予算の確保や地域内外への宣伝などほとんどの仕事を担当しました。特に、協賛や後援の協力をお願いするために地元企業や行政をまわったり、宣伝をするためにネット番組に出演したり、研究という枠を超えて「イベント運営者」として活動することが多く、とても大変でしたが、楽しい経験でした。

イベント当日は下田市内外から参加者やスタッフが集まり、無事イベントを成功させることができました。終了後のアンケートでは、「また参加したい」といった意見をいただくことができ、継続的な地域の防災活動に繋がる場として、効果を出すことができたのではないかと考えています。



この「遊ぼう祭」というイベントは、下田市の方々はもちろん、東京の大学やNPO法人などたくさんのスタッフの力によって開催することができました。関わった全ての方々に深く感謝いたします!今後は、より地域の根差した活動になるよう、運営方法などを検討していく予定です。



私はほとんど直感でネットワークデザインスタジオに飛び込んでしまったのですが、ネットワークデザインスタジオで過ごした2年間は、これからの人生にも大きく関わってくるくらいの大切な時間になりました。研究室のメンバーとたくさんのプロジェクトに関わるなかで、いろいろなアイデア、知識、技術をもった人たちと時間をかけてものを作っていくことが本当に楽しくて、あっという間でした。同時に、同期に「6年くらい一緒にいる気がする」と言われるくらい、濃い2年間でもありました(笑)

ネットワークデザインスタジオのいいところは、みんながそれぞれ違う関心や技術をもっていて、ゼミやプロジェクトを通してそれを共有できるところだと思います。「遊ぼう祭」も、チラシ・WEBサイトのデザインや防災プログラムの開発、当日の運営などで、同期や先輩、後輩に力を借りました。私1人では実現できなかったことがたくさんあります。

これからネットワークデザインスタジオで作品を作っていく人たちも、自分の考えややりたいことをどんどん発信していってほしいなと思います。他の人の発想や技術が作品をもっと良くしてくれることもきっとありますし、また新しい作品が生まれたりするかもしれません。ぜひ、ワクワクする素敵な作品をたくさんつくっていってほしいです!

最後になりましたが、2年間本当にお世話になりました。インダスにきて、ネットワークデザインスタジオにきて、本当に良かったと思っています!これからもネットワークデザインスタジオのみなさんのご活躍をお祈りしています!