モノクロ写真のカラー化技術を用いたメディアと読者の対話を促すコンテンツ制作の研究



 36歳,M2の與那覇里子です.
 社会人学生として学んだ2年間の集大成を一部ですが,ご紹介します.

 
 タイトルは,「モノクロ写真のカラー化技術を用いたメディアと読者の対話を促すコンテンツ制作の研究」です.


なぜ,この研究をすることになったのか.

 ニュースの流通網は,新聞の戸別配達が大きな役割を担っている一方で,ネットの登場は,ニュース配信の仕組みを大きく変えました.
 それぞれの持つメディアで情報を発信していたマスメディアは,Yahoo!やLINEに配信をはじめ,ユーザーがツイッターやフェイスブックなどのSNS,ブログなどにアップし,拡散されるようになりました.
 地方紙で記者として携わる筆者としては,地方の情報を全国に直接届けられるようになり,チャンスが増えたと思う一方で,地域特有の文脈や情報が含まれているとなかなか読んでもらえないというジレンマを感じていました.
 例えば,沖縄には,あの世の正月「グソーの正月」がありますが,見出しで取ったとしてもほとんど読まれません.
 また,記事への書き込みは,ディスコミュニケーションが多くあるのが現状です.

 そこで,幅広い読者に沖縄のニュースへの理解を促すことを研究の目的にしました.

 そのために,次の3つのアプローチを取ります.
1)沖縄のニュースに興味・関心を持ってもらうコンテンツを制作
2)地元特有の文脈への理解促進
3)メディアと読者の前向きな対話を生み出す


「ニューラルネットワークにディープネットワークを用いた
大域特徴と局所特徴の学習による白黒写真の自動色付け(2016,飯塚里志,シモセラ エドガー,石川博)」
 

どんな方法で目的を達成する?

 興味関心を引くために,飯塚らの開発したモノクロ写真をカラー化したAI技術を活用することにしました.


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 マスメディアは,読者に興味を持ってもらうため,イマーシブ型のリッチコンテンツを制作していますが,CG,凝ったUI,インフォグラフィックなどが盛り込まれ,記者がすぐに作れるものではありません.
 飯塚らの技術であれば,1クリックで色をつけることができます.
 エンジニアでない記者も扱うことが可能です.

 ただし,課題もあります.
 AIは230万枚の写真から,着色について学んでいますが,正しい色ではないため,人の手による補正が必要です.
 そのため,私の記者という職能を生かし,取材によって色を補う手法をとります.
 

コンテンツ制作

1)戦前の沖縄のモノクロ写真を活用

 写真については,朝日新聞が1935年に沖縄で撮影したモノクロ写真を使います.写真には,生き生きとした表情の沖縄の人々が映し出されており,沖縄の文化を視覚的に理解できるからです.
 277枚ある写真の中から,私が選んだ写真の一つは,市井の人々の暮らしぶりが分かる那覇市場の写真です.



 
 それらの写真を元に,コンテンツ制作に向けて取材をすることにしました.
 手法としては,当時を生きていた人たちを探し出し,同窓会などを通じてアポを取りました.
 その方々にじっくりと写真を見てもらって,写り込んでいるものが何かを一つ一つ語ってもらったり,撮影場所について聞いたり,実際に色の違いについて聞きました.


 色付けをしたことで,くっきりと見えてきたモノが,おばあさんたちの手元に写っていた入れ墨です.ハジチと言われるこの入れ墨は,戦前,既婚女性が彫っていたもので,地域によっても異なります.

 
写真:朝日新聞社


 この写真については,ほかにも,取材,やフィールドワークを重ね,コンテンツとしてまとめ,発信しました.

 

 また,277枚ある写真の中から,もう1枚,傘をさすセーラー服姿の女子高生についての写真を色付けし,取材,コンテンツを制作しました.




2)戦後沖縄の白黒写真をカラー化した写真展

 筆者が編集に携わる沖縄タイムスに眠る,戦後沖縄のモノクロ写真を活用した写真展を通してコンテンツを制作することにしました.
 モノクロ写真とカラー写真で色が比較でき,会話が生まれるように二つ並べて展示し,当時の出来事や背景を思い出すための新聞記事も展示しました.




 また,個人で所有しているモノクロ写真を展示会場に持ってきてもらい,カラー化する取り組みもしました.
 1日100人以上から依頼があり,写真展5日間で約700枚をカラー化しました.
 両親や祖父母,親戚が写った家族の写真が多くありました.

 また,許可をもらった写真は,SNSでアップしました.
 すると,SNSで“偶発的な”対話が生まれ,コンテンツとして制作することができました.


まとめとこれから

 今回のコンテンツ制作において,幅広い読者に沖縄のニュースに興味・関心を持ってもらうことを目指しました.貢献の一つとして,読者と前向きな対話ができたことが挙げられると思います.

 また,AIの課題として挙げた「正確な」着色でなかったことが,人々の対話を促し,新たな知見をもたらしました.
 

 しかし,今後の課題として,今回,私が着色したAI技術だけでなく,記者が汎用性高く活用できる技術について,整理する必要があると思います.もっと,興味関心を持ってもらえる“武器”として,どういうものがあるのか,知る必要があります.
 また,今回,SNSで対話を促しましたが,フェイクニュースも多い中,何を持って信用できるのかは大きな課題です.
 また,ストーリーを持って制作するコンテンツも大切ですが,共感を得ながら紆余曲折,偶発的に生まれるコンテンツは理解を促進する可能性があります.
 そのようなコンテンツの制作の可能性をこれから模索してみたいと考えています.


 今回の研究にあたり,着色のAI技術を開発し,活用させていただいた飯塚先生,石川先生に感謝いたします.
 また,写真の活用を許可していただいた朝日新聞社,沖縄タイムス社,インタビューに応じていただいたみなさま,ありがとうございました.
 社会人学生として送り出してくれ,写真展を開催させてくれた会社をはじめ,いつも応援し,支えてくださっているデジタル部の仲間に感謝いたします.

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後輩みなさんへ

 私は,とてもいい仲間に巡り会えました.
 干支が同じ,同学年のゼミのみんな!
 wtnv研究室のみんな!
 インダスで一緒に机を並べて勉強したみんな!
 12年ぶりの学生生活に戸惑う私は,たくさん助けられました.
 突然,社会人学生が来たというのに,ランチやグループワークに誘ってくれてありがとうございました.

 私は,いい仲間に出会えたことで,2年間,励まされ,支えられ,学び直しを楽しませてもらいました.

 そして,きっと,就職してから,学び直しをしたいと思った時,私が役立つ時が来るのかもしれません.
 

シリアスゲームを通したデジタル・アースアーカイブ作成による児童の地域理解促進

ご無沙汰しておりました。
首都大学東京大学院ネットワークデザインスタジオ修士2年 山浦徹也です。
この投稿では、自分の修士研究についてご報告します。

自分は児童の地域理解を促進するためにシリアスゲームを通してデジタルアース・アーカイブを作成する学習プログラムを開発しました。
 2017年からネットワークデザインスタジオおよび東京大学渡邉研究室では、山梨県南アルプス市と共同研究を進め、市民に向けて、市内の歴史・伝統文化をまとめたデジタルアース・アーカイブを開発・活用方法を検討してまいりました。
「○博アーカイブ」http://archives.maruhakualps.jp/
この共同研究を進める中で、児童を対象にしたデジタルアース・アーカイブの活用について検討し、総合的な学習の時間を用いて活用を進めることになりました。
そこで、自分は児童の学習意欲やモチベーションを高め、より深い学びを実現するためにシリアスゲームを用いてデジタルアース・アーカイブを作成するプログラムを開発することにします。
シリアスゲームとは、エンターテインメント性のみに特化せず「社会問題の解決」を目的に開発されるゲームのことです。近年では、地域社会を題材として現実世界を取り扱ったシリアスゲームが開発されており、モチベーションの喚起・継続、題材の地域に特化した学習体験を実現するといったメリットがあります。また、デジタルアース・アーカイブには、様々な情報をデジタル空間上にマッシュアップして表示することで、多角的で直感的な学習を実現し、記憶定着に効果的です。
シリアスゲームの先行事例、デジタルアース・アーカイブのもたらす学習効果について調べ、以下のような指針に基づいてゲームを開発して行くことにします。

  1. 主体的な学習態度と興味関心の創発
  2. 挑戦と達成感を伴う経験の積み重ね
  3. 時空間情報と紐づけて直感的な理解と記憶定着を促進

     今回は、南アルプス市立櫛形西小学校の6年生20人を対象にゲームを行います。
    この指針と対象地域である南アルプス市や児童の特徴、カリキュラムを踏まえてゲームを開発します。企画・実践にあたっては文化財課の保坂太一さんと6学年担当教諭の倉崎正行先生に協力していただきました。

    6年生の町歩きのカリキュラムとして設定されていた事前学習、現地学習、事後学習の全3回の授業時間にてゲームを実践し、デジタルアース・アーカイブを作成しました。
     まず、事前学習では地域の文化・歴史を題材としたクロスワードゲームを行ないました。
    資料を用いてグループで連携して解くクロスワードゲームは、地域の新しい発見や興味を引き出し、児童同士で支えあって、主体的に取り組む姿勢を生み出しました。
     次に、現地学習では、史跡やかつて存在した遺跡の写真をカメラに重ね合わせるARアプリを用いた撮影地探しゲームを行ないました。
    ARを通して実物の史跡見た後に史跡の解説を聞くという流れを通して、何気なく小さな史跡が児童の印象に残る結果となりました。
     最後に、事後学習として、児童らが国語の時間で作成した地域のパフレットのデータを入力し、デジタルアース・アーカイブを作成しました。
    作成にあたり、昨年の卒業生である井上らによって開発されたデジタルアーカイブ構築システムを用いてシステムを実装し、児童らに入力してもらいました。
    自発的に児童同士でサポートし合いながら入力を進め、歓声をあげながらアーカイブ作成を進めていきました。
    その後のアンケートでは、ほぼ全員が達成感・やりがいを感じていたという結果が得られたほか、地域について新しい視点を提供することができたという結果となりました。
     一連の実践の結果から、シリアスゲームを通してデジタルアース・アーカイブを作成することで、 学習意欲や地域に対する新たな興味を引き出せたと考えます。
    また、ARとデジタルアースを用いることで、児童らに時間的・空間的視点を提供して総合的な地域学習を実現できたと言えます。
     研究の実施にあたり、文化財課保坂太一さま、櫛形西小学校教諭倉崎正行先生、首都大学東京ネットワークデザインスタジオの学生有志など、様々な方に支えられました。心から御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
     今後は、この研究のような取り組みを学内で継続したり、他の市域で実践することで、アーカイブのさらなる内容充実をはかるとともに、このような活動がもっと盛り上がって行くことを期待します。自分な大学を卒業してしまいますが、違う形で貢献したいと思っております。


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     それでは、自分の学生生活を振り返り後輩たちに向けた言葉を…。

     研究室に所属してから3年間かなり自分の好きにやらせてもらった気がします。研究でこんな事したい、アプリを作ってみたい、何かのコンペに出す作品を作りたい…。このような願いの実現に際し、相談できる先輩・後輩・同期に本当に恵まれていたのがこの研究室だったように感じます。自分にはできないことでも、それを実現できる誰かが、必ず居ました。研究室メンバーの支えがあったからこそ、今の自分があるのだと思います。本当に感謝です。皆さんありがとうございました。

     そして、気付かされたのは、自分ひとりだけでは何もできないということ。限界は案外とすぐにやってくること。そんな時は、自分の「できること」と「できないこと」をはっきりさせた上で「できないこと」は誰かを頼りましょう。「できること」はさらに高めることも忘れずに…。技術・知識のシェアをしながら、お互いに切磋琢磨できる環境は貴重です。何もしないのは勿体無い。誰かと一緒に何かを生み出したときに、絶対に成長できます。

     繰り返しになりますが、まずは、自分のやりたいことをやりましょう(できれば誰かと手を取り合って)。その方がモチベーションも高まりますし、結果として大きく成長できると思います…。
    皆さんの更なる躍進と成長に期待しています。楽しんでナンボの学生生活です!
    それでは。



    高校生と大学院生のコラボレーションにおける共創型デザインの有効性 −平和学習教材の制作とワークショップの実践−

    こんにちは.修士2年の秦です.

    2年ぶりの登場です.今回の投稿では修士研究について紹介します.


    2年前の週報で,ヒロシマ・アーカイブARアプリとの併用を想定した平和学習ワークブックづくりについて紹介しています.この投稿のあと,大学院に進学した2年間で,引き続きワークブックづくりに取り組みました.



    広島女学院高等学校署名実行委員会の生徒有志と共同制作として動いている「ヒロシマ・アーカイブ」制作プロジェクトの一環として,この平和学習教材づくりはスタートしています.
    もともと高校生のみで制作していたワークブックですが,技術的な面や時間の制約などの課題から,高校生の思ったとおりに制作することができず,2016年秋から私を中心とした研究室メンバーで制作のサポートを行なっています.

    私の学部4年次で制作した教材をパワーアップさせ,教材の想定ユーザである修学旅行生にとって親しみやすい平和学習教材にし,制作を進める中で広島女学院高校の生徒たちにも新しい学び・発見があるように,2017年秋ごろからは「共創型デザイン」という手法を用いて制作を行ないました.

    この共創型デザインは,制作物のエンドユーザや課題の当事者がデザインの制作過程に積極的に参加する手法で,制作への参加者とデザイナーが互いを尊重しながら制作するなどの特徴があることから,制作ワークショップで教材づくりをしつつ,高校生が私たち大学院生からデザイン技術を学ぶことができるのではないかと考えて採用しました.

    教材の制作自体は2年間で継続的に行ない,その中で,高校生と大学院生が顔を合わせて教材づくりに取り組むワークショップを3回実施しました.

    ①2017年11月,②2018年3月,③2018年6月の合計3回ワークショップを実施し,それぞれのワークショップで活発な議論ができるように,①シックス・ハット法,②希望点列挙法とNM法,③デザイン思考を活用しました.
    毎回のワークショップで,高校生と大学院生の人数構成や活用したアイデア発想法について課題が出てくるため,その課題を克服できるよう,人数調整やプログラムの企画,活用するアイデア発想法の採用を行ないました.



    この3回のワークショップを実施した結果,高校生から「考えたことをうまく発表できないときにサポートしてもらえてうれしかった」「ワークショップやフィールドワークを通して,修学旅行生が考えていることを想像できたと思う」といったコメントを得ることができ,また制作した平和学習教材についても,教材の魅力を高めるための指標であるARCS動機づけモデルによって評価することができたことから,この「ヒロシマ・アーカイブ」制作プロジェクトでの教材づくりにおいては,共創型デザインが有効であったのではないか,と考えています.

    今後は,ワークショップに参加した高校生たちが,新しく教材づくりに参加する高校生に対しても同じようなワークショップを開催して教材をさらにパワーアップさせたり,その際の技術的なサポートとして大学院生が関わってくれることを期待しています.


    「問いかけ・しかけ」と「防災マップづくり」を取り入れた防災学習プログラムによる主体性向上


     
    こんにちは!修士2年の福井裕晋です。

    今回は、私の修士研究について紹介させていただけたらと思います。


    私の修士研究は、防災学習時の学習者の主体性を向上させることを目的に、防災学習プログラムの開発を行いました。


    近年、日本には私たちの想定を超える災害が増えてきています。そこでは、災害の状況に応じて、適切な判断・行動をしていくことが求められます。
    しかし、学校教育の現場については、地震や火災などを想定した避難訓練は定期的に行われていますが、現状の避難訓練では災害時に求められる適切な判断・行動を育成することは難しいと私は考えます。

    そこで、私は主体性を向上させることを目的とした関連研究を踏まえながら、「問いかけ・しかけ」と「防災マップづくり」を取り入れた防災学習プログラムの開発を行いました。

    ここで、今回用いた手法について少し触れたいと思います。

    「問いかけ」というのは、金井らの研究によると主体性を向上させる防災教育の実現のために,心の葛藤が生じる“心ゆさぶる発問”を行うことが重要だと述べています。

    「しかけ」というのは、金井らの研究によると地域や家庭と協力・連携した授業づくりが求められると述べています。

    「防災マップづくり」は、主に学校教育の現場や地域住民を対象に地域の防災設備などをまとめたマップを作りが行われています。この取り組みにより実際に地域を歩くことで、地域の課題を知る機会となり、それをマップにまとめていく過程のなかで、自分の考えを育むことができるのではないかと私は考えます。


    そこで本研究では、「問いかけ」として生徒たちが心ゆさぶる問いかけを行い、「しかけ」として消防署員と協力・連携した授業づくりを行いました。また、プログラムのなかに「防災マップづくり」を取り入れることで、学習者の主体性を向上を行います。


    今回、実践を行なった学校は兵庫県神戸市立伊川谷中学校の1年生211人です。伊川谷中学校では、過去2年当時中学校教諭であった井上先生(現 愛媛大学講師)と一緒に防災学習の開発・実践を行なってきました。今年は、中学校側から井上先生に防災学習の依頼があり、そこに私がサポートスタッフとして協力する形で、一緒に授業の開発・実践を行いました。


    授業は、全8時間の授業を2ヵ月かけて行いました。実践にあたっては、ワークシートの製作をはじめ日程の調整など大変なところもありましたが、プログラムを進めていくなかで、生徒たちの防災意識が徐々に高まり意欲的に活動する姿を見ることができ、本当に実践することができて良かったなと感じました。


    生徒たちが製作した防災マップは、消防署員に講評してもらえる機会を作ることができ、生徒たちや保護者に見てもらえるよう掲示をしてもらいました。今後は、学校内にとどめるのではなく、地域の連絡所やスーパーに掲示してもらうことで、より多くの人に生徒たちの取り組みが発信されていくのではないかと思います。

    今回の防災学習は、長期にわたる学習となりましたが、生徒たちへのアンケート結果から、「来年もぜひ今回のような防災学習をやりたいです」、「今回の防災学習をとおして、自分たちが地域の人たちを助けれるようもっと学びたいです」など意欲的な回答をたくさんもらいました。学校という現場のなかでは、時間のカリキュラムの問題があり今回のような学習を実施することがなかなか難しい課題もありますが、継続的に行なっていくことで生徒たちの防災に対する意識や学びは向上していくのではないかなと思います。
    授業の実施には、愛媛大学の井上先生をはじめ、伊川谷中学校の先生方、消防署の方々など多くの方々のご協力と支援があり、実現することができました。本当にありがとうございました。来年からは、学生ではなく社会人となってしまいますが、今回のような取り組みがどこかで出来るよう、自分なりに違う立場から貢献できたらと思っています。


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    最後に、後輩の皆さんへメッセージを残したいと思います。


    私は、研究生を含めて3年間在籍しました。外部からの学生であり、またデザインという分野からかけ離れたところからやってきましたが、この3年間は本当に充実した3年間となりました。

    wtnv研は、同期をはじめ、先輩から後輩まで様々なスペシャリスト達の集まった研究室だなと感じます。また、ネットワーク研ということもあり、様々な分野の方々と一緒にイベントを行なう機会が多いです。私も自身の研究だけでなく、いろんな人の研究実践に同行するなかで、様々な人と触れ合い、色んなことを学びました。

    ここで、自分のなかでですが3つほど大切にして欲しいことを書き留めたいと思います。
    同期をはじめ、先輩・後輩を大切にする
    外部から進学してきた自分には、同期の存在が本当に頼りになりました。デザインに右も左も分からない自分に、丁寧に説明をしてくれたり、一緒に研究室合宿の企画・運営をするなど、普段は仲良く、時には色々なことを言い合いながら行なってきました。困った時など、本当に同期の存在は大きく、自分の同期は自分の研究と重なるところも多く、実践や論文を書くうえで、一緒に相談しながら進めていくことができました。これは、本当に偶然なことなのですが、改めて恵まれていたなと感じます。
    先輩や後輩も、普段から色んなことを教えてくれたり、遊びに誘ってもらったりと学ぶことも多く、アドバイスをもらえるなど困った時などに頼りになる存在です。日頃から、同期だけでなく先輩・後輩とも積極的に交流しておきましょう!


    常に挑戦する姿勢をもつ
    wtnv研のメンバーは、自分たちで何かを作ったり、企画したりなど常に挑戦する姿勢を持っている人が多いです。学生という時間があるなかで、今の現状に満足するのではなく、積極的に色んなことに挑戦してみることをオススメします!自分も、3年間中学校の先生と協力し、防災学習プログラムの開発・実践を行なってきました。1回で満足するところを反省点を生かし、色々な視点から行うことで、最終的に3回の防災学習プログラムの開発・実践を行なってきました。継続性が難しいなかで、3年間続けれてきたことは、自分にとっても大きな財産です。
    wtnv研では、渡邉先生をはじめ、色んな人から「ここに作品を出してみたらいいんじゃないか?」など自分のやっていることを色んな人にみてもらい評価してもらう機会に積極的に応募しています。学校内に留まるのではなく、色んな人から評価してもらうことで、それが刺激となり向上心を養っていくと思います。実際にwtnv研では、先生が研究室メンバーの業績をまとめており、メディア取材・学会発表・資金調達など、メンバーが活発的に動いています。社会人になると色々な制約もあり、なかなか自分のやりたいことを自由にすることは難しくなります。学生の間に、色々なことに挑戦をしていくことで、自分の経験としても財産になりきっと今後の人生などに役立つはずです。

    学生のうちに、海外に足を運んでみる
    学生は、お金がなくなかなか海外に行くことが難しいですが、なんとか貯金して海外旅行にいったり、一緒に仕事を行なったりすることで、今までとは違う世界観が見えてくると思います。
    日本は、世界のなかでも様々なものが便利で平和な国です。海外では毎日のように内戦が行われていたりする国など、様々な国があります。海外では、日本では当たり前になっていることが、ほとんど通用しないことが多いです。色んな地に足を運ぶことで、自分の中で当たり前だと思っていたことが変わることになると思います。
    また、海外の仲間と何かを成し遂げることも大切です。自分は、防災のリーダーを育成する事業「HANDs!プロジェクト」に日本フェローの1人として参加してきました。アジア8ヵ国の仲間たちと一緒に、色々なことを話し合ったりしながら、子供たちが楽しんで学べる防災ゲームを作ったりしてきました。海外の人たちと一緒に話をしていくなかで、みんなそれぞれの考えや思いを知ることができました。また、一緒にゲームを作っていくなかで、マネジメントの仕方も国によって違ったりしました。アジアの仲間たちからみると、日本人はけっこう真面目な人が多いようです(笑)。自分たちのなかでは当たり前だと感じているやり方が通用せず、本当にそれで大丈夫なの?と思う時もあり、揉めたりすることもありました。自分は、この経験をとおして、日本人だけでなく外国人にも様々な考え方があることを改めて知り、色んな国の文化ややり方を知れたことはとても楽しかったです。日本だけでなく、海外の人たちも交流をすることも、とても楽しいことだと思います。


    長くなりましたが、自分は本当にwtnv研に入って良かったと思っています。きっかけは、先輩の紹介でしたが、今まで学べなかった分野のことを知れたり、自分がやりたかったことを実現することができたり、今まで経験できなかったことを経験できるなど、楽しい大学院生活を送ることができました!

    学生という立場ではwtnv研と卒業しますが、今後も同期をはじめ、先輩・後輩たちとも引き続き交流できたらと思っています。
    皆さま、本当に3年間お世話になりました。ありがとうございました!










    「記憶の解凍」 ARアプリ公開


    東京大学大学院情報学環 渡邉英徳研究室は、AI技術を活用してカラー化した“戦前の広島”の白黒写真を、地図・AR(拡張現実)ビューに表示する「記憶の解凍」ARアプリを公開しました。

    私たちのチームはこれまでに、数百枚の白黒写真をAI技術でカラー化し、さらに、被爆者との対話を重ねて色を補正することによって、過去の記憶を辿る旅を続けてきました。最新技術と、被爆者・若者たちのコミュニケーションが組み合わさることで、これまで凍りついていた記憶が「解凍」され、よみがえります。

    カラー化された過去の写真は、私たちの心のなかに、これまでにない感情を喚起します。その写真が、アプリを通して、現在の広島の風景に重ね合わされるとき、私たちの眼の前には、切り撮られた過去の日々につながる、時の窓が開きます。


    本アプリは、渡邉英徳教授とともに活動を進めてきた、広島市在住の庭田杏珠さんとのコラボレーションによって制作されたものです。

    アプリダウンロード(無料):
    • App Store / Google Playにて、キーワード「記憶の解凍」で検索
    • ウェブサイトからダウンロード
    制作チーム:
    • 原案・カラー化・アプリ作成:渡邉英徳×庭田杏珠
    • 考証協力:濱井德三、ヒロシマ・フィールドワーク実行委員会
    • 写真提供:濱井德三、今中圭介、緒方昭三、片山曻、諏訪了我(浄寶寺)、高橋久、多田良子、本田美和子、広島県立文書館、広島市公文書館、アメリカ公文書館(撮影:尾木正己)
    • タイトルロゴデザイン:秦那実
    • カラー化技術提供:早稲田大学 石川博研究室
    • 平和記念公園(爆心地)街並み復元図提供:中国新聞社