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【FOSS4G 2026 参加報告】デジタルアーカイブの最新知見と記憶継承の基調講演、広島・長崎の高校生による「原爆の絵」可視化プロジェクト

2026年8月30日から9月5日にかけて、FOSS4G(Free and Open Source Software for Geospatial)国際会議が広島で開催されました。FOSS4Gは、オープンソースの地理空間ソフトウェアやオープンデータに関わる開発者、研究者、ユーザーが世界中から集う世界最大級の国際会議です。先端的なGIS技術開発から社会実装、教育現場での利活用まで、多角的な議論が交わされました。

渡邉研OB・田村賢哉さんが大会委員長を務める

今大会では、渡邉研究室OBでありRe:Earth(株式会社EuKarya)CEOの田村賢哉さんが大会委員長を務めました。出身地である広島での開催ということもあり、趣向を凝らした企画で大会を力強く牽引。開会スピーチでは、学生時代に触れた「ヒロシマ・アーカイブ」から受けた影響や自身の原点を振り返るとともに、オープン技術を通じた平和への思いが語られました。


基調講演:技術・学術・伝承が交差するデジタルアーカイブ

基調講演には、渡邉英徳教授、博士課程の森吉蓉子さん、そして被爆体験の交流証言者(被爆者の体験や記憶を受け継いで語る伝承者)である荒木千尋さんが登壇しました。

渡邉教授の講演では、これまで研究室で取り組んできた「ヒロシマ・アーカイブ」をはじめとする平和・災害デジタルアーカイブの歩みと最新知見が共有されました。単なるデータのマッピングにとどまらず、多角的な視点や個人のナラティブ(語り)を3D空間・地理情報技術と統合することで、空間的な広がりと時間の重みを直感的に捉え直す手法を提示。オープンデータやWebGIS技術が、過去の記憶を多次元的に可視化し、未来へ紡ぐための「対話のプラットフォーム」になり得る可能性を説きました。

続いて森吉さんは、戦後生まれの語り部アーカイブを含む学術的・技術的アプローチについて発表。荒木千尋さんは、長崎で被爆した中村一俊さんの証言を紹介し、第三者として被爆体験を次世代へどう伝承していくか、実体験に基づく重みのある想いが述べられました。


広島・長崎の高校生による「原爆の絵」可視化プロジェクト発表

続いて、長崎東高校の生徒たちによる「原爆の絵」可視化プロジェクトのポスター発表とステージプレゼンテーションが行われました。本取り組みは、渡邉研究室とRe:Earthのサポートのもと、広島と長崎の高校生が協働して進めてきたプロジェクトです。

関連のニュース動画

https://iraw.rcc.jp/topics/articles/36389(RCCニュース 9月2日)

https://youtu.be/VVri7dwMNf8?si=kER2gIb5MI_SfqIO (広島ホームテレビ 9月7日)

広島市立基町高校の生徒が被爆体験証言者へのヒアリングを通じて描いた「原爆の絵」を、Re:Earthを活用してデジタル地図上に再構成。作品・撮影場所・メタデータを空間的に結合することで、鑑賞者が被害の広がりや記憶の集積を直感的に探求できる体験を設計しました。4月からの制作過程では、実際に絵を描いた基町高校OGへのオンラインインタビューも実施し、絵画の背景にある想いやストーリーへの理解を深めました。本作品は8月に長崎原爆資料館の「ミライの平和活動展」でも展示され、長崎市長をはじめ国内外の多くの来場者に体験していただいた実績を持ちます。



会議期間中のポスター発表およびステージ発表では、高校生たちとプロジェクトに協力した基町高校OGが、国内外の参加者を前に全編英語で堂々とプレゼンテーションを実施。熱意のこもった発信に、会場からは大きな反響が寄せられました。


オープンソースの精神と平和への願いが深く響き合ったFOSS4G 2026。広島・長崎の若者たちが自らの言葉と英語で発信した「原爆の絵」可視化プロジェクトは、国境を超えて多くの参加者の心を動かしました。デジタル空間に再構成された記憶が、国や世代を超えた新たな対話を生み出す、その手応えを胸に、渡邉研究室では今後もデジタルアーカイブを活用した平和学習や技術の社会実装に取り組んでいきます。