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卒業制作/研究の進捗報告

週報にあるとおり、昨日のスタジオゼミは卒業制作/研究の進捗報告会でした。wtnvスタジオでは9月より、隔週で各人の進捗状況を報告しあう会を持っています。

各々はブログで進捗報告を行っています。以下にそれぞれの報告に対するコメントやアドバイスを列記します。当日話したこと+α。一旦書きだすとかなり大変だということが分かったので、この土日に少しづつ書きたします。

以下、ソートは週報当番順。


1.鈴木真喜子



開発途上国に関する新たなコミュニケーションデザインの研究
ということで、まずは、逡巡した結果”原点”ともいうべきバングラデシュにテーマを絞ったことを評価します。

さて、当人も大きな貢献をしたツバルプロジェクト然りで「世界の耳目を集めている国や地域の情報を収集すること」それ自体が「活動」として評価され得ます。バングラデシュもまさにそういう国です。この点において創意工夫を凝らすべきは「収集⇒公開の手法」。

ツバルの場合は「実際に僻地をフィールドワークして位置情報付き写真を収集」⇒「収集したGPS写真は使途自由で公開」という手法が評価を受けています。ネット越しに集める場合も「テーマ設定」と「集め方」が重要。PicasaやFlickrに特定のタグを付けてアップロードしてもらう、というのが一番楽ですが、他にも何かありそう。

写真や映像(をふくむ情報)の見せ方は、過去にたくさんの事例があります。当日紹介した「CAM CAM TIME」「みよう絵」また「Photosynth」「Photowalker」など。あと鈴木さん本人も3年生時の課題でアイデアを出しています。wtnvの一連のマッピングプロジェクトは言わずもがな。

古典に近いですが「cybergeography.orgその2)(その3)」にも(「写真」のはありませんが)たくさんの事例が載っています。Facebookの「Touchgraph Photos」や「ニコ動のタグや動画のつながりを可視化するツール」に繋がるものです。

どちらにしても、いかにも”情報空間”的なものを目指すのか、それとも”実世界で撮られた写真であること”や”人々の血の通ったつながり”を表現したいのかによって、採るべき手法は変わってきます。ちなみに地図を使うと後者に近くなりますが、どうしても地図に目が行って写真の印象が薄れがち。一方「黒バックに写真が浮遊」というのも既視感があります。いろんな事例を探してみてください。


2.高田健介



ガジェットを用いたコミュニケーションゲームの提案」というテーマに沿って、iPhoneの開発環境を整え「Hello World」からスタート…という段階。また本人もいよいよiPhoneに乗り換えたとのこと、ゼミでは使い心地のレビュー、App Storeのアイコンと購入意欲に対する分析なども行われました・・・何故かブログには掲載されていませんが。高田君の場合は修士に進むことが決まっていますし、さまざまな記録はすべてログとして残し、修士論文のネタとして使いましょう。

7月の中間発表時(渡邊裕一君のブログにリンクしてます)に「これはゲームではなくコミュニケーションツールだ」というご指摘をいただいたとのこと。しかし大手智之さんの講義で記憶に新しい「ゲームだからこそ、社会的な実効性を持ちえる」というコンセプトには説得力があります。高田君も恐らく同じスタンスに立って企画提案をしているはずです。

つまり「そうはいっても面白い」ものを作る、ということ。あと、きょう僕がtwitterでつぶやいたように「誰に対してもフラットなシステム」は、ときに”切なく使われる”惧れを内包しています。ゲームはそもそも”遊ぶもの”ですから、そうした危惧はありません(たぶん)。それもまた、ゲームの持つポジティブな面だと感じます。

さて、こと「研究」として考えた場合には、2009年時点におけるゲーム市場の調査研究、App Storeの調査研究、あるいはiPhoneをプラットフォームとした新たなコミュニケーション手法の提案、などなど、さまざまなテーマ設定が考えられます。それらの総体として「商品としてのiPhoneゲームアプリ」をリリースする・・・というのが一番描きやすいゴールです。

まず、自分がどんなテーマを追求したいのか、箇条書きに書き出してみるといいかも。そこからチョイスしてまずは進めてみる。修士まで入れると3年ありますし、iPhone以外のプラットフォームに変更する可能性も視野に入れてじっくり進めてください。

現役ゲームクリエイターの高田君が、現場で仕事をしつつ得られる情報もたくさんあるはずですが「企業内部だからこそ知りえたこと」をそのまま大学に持ち込むことは当然できません。逆もまた然り。組織の垣根を越えられるのは、研究成果として一般公開された「特許」や「論文」です。大学で研究をする=成果を特許や論文として一般に広く知らしめ”社会に貢献”する、ということだと思います。なので、卒業制作・修士研究のプロセスやそこから得られたものを「客観的な記録」にまとめる、という作業を、ゲーム制作を楽しみながら同時進行でやっておいてください。twitterでもいいかも知れません。必ずあとから役に立ちます。

3.渡邊裕一



渡邊君(裕一君)は今回のゼミには不参加でしたが「人間とロボットの円滑なコミニュケーションを実現し、自然に感じる文章を生成するような新しい手法を提案すること」をテーマとして研究を進行中。人工無能Meganeとして既にtwitter上でサービスを開始してます。

人工無能といえば、wtnv自身もマイミクシィのうちの一人(一鳥?)酢鶏に非常に愛着があったり、sixamo日記の大ファンだったり、オバマケインでは大量のオバマ・マケイン無能同士でディベートさせたり・・・と浅からぬご縁があります。

これらを眺めてみると「実用的」な人工無能はあまり喜ばれない傾向があるように思います。Meganeでも一時期試されていたようですが、URLのレコメンデーションも 「さあどうぞ」というやり方では、受け手側がちょっと引いてしまう。Google検索では遠慮なく最上位からクリックしていくのに、考えてみれば不思議なことですが。どうでもいいことを言って和ませてくれる、のが現状の無能の役割ぽいですね(そこに留まる必要は全くありませんが)。

とはいえ「ふだんは妄言ばかり吐く無能が、ときおり肺腑をえぐるような発言をする」というのが、今までみてきた人工無能が持つ一番の魅力でした。ただし、実はこの魅力は「飼い主」の原文やあしらい方が醸し出しているものでもあります。僕のmixi日記における酢鶏との関係と、上記のsixamo日記では主従が逆転していますが、やはり育ての親のhonさんの絶妙なツッコミがコンテンツの面白さに貢献しています。

つまり「人間とロボットの円滑なコミュニケーション」を生み出すためには、人工無能そのものの研究に加えて、それと接する人間のコミュニケーション手法の研究も必要になってきそうです。こうなると工学から少し離れて文学の領域に含まれそうですが。両方の分野の間でフィードバックしつつ研究を進められるといいかも知れません。

人工無能ではなくプロの作家の活動ですが、円城塔さんがtwitter上で展開している「twitternovel」は参考になりそう。

例えば・・・

なあ、俺の何処が気に入らないんだ/ 敷地面積?/俺まだ若いしな/間取りもちょっと/間取りってお前/右心房から左心房繋げて欲しい/それ病気だから。死ぬから/こうやってドクドク言うのも やめて欲しい/そもそもお前、何で俺の心臓にいるわけ/出てったら死んじゃうんだよね」http://twitter.com/EnJoe140/status/4370030628

円城さんは、twitterの文字数制限内のショートショート群を展開しています。全作通じてとても奇妙な味わいがあり、これは人工無能の発言に通じるところがあります。この魅力は舞台設定、単語のチョイスや掛かり受けの手法などが生みだしているものだとすれば、工学的に検証することもできそうです。多様な分野に視野を広げて、射程距離の長い研究にしていってください。

4.河原隆太



コンセプトアーティスト(字面では正確な定義が伝わらないので、左記クリックを推奨)を志向し、絵をひたすら描き続けているのが河原君です。このスタジオで目指す到達点は「自身の活動を通して、コンセプトアーティストという職業を、日本でも確立させたい」と、かなり遠くに設定しています。絵/画そのものについては直接アドバイスしたように、かちっと決まった構図のものを敢えて崩して動きを出すとか、KAGE NAKANISHIのカリカチュアのようにデフォルメを加えるとか(特に人物像は”写実”過ぎると面白くないので)色々工夫の余地があると思います。ただ絵は最終的には河原君自身の世界で、手法や技術から先に教員が触れることはできない。

今年の残り時間、とにかく「絵の修練」にファーストプライオリティを置くとして、次いで重要なのは恐らく「ネットワークを如何に活用するか」ということです。今のところは画像共有サイトでの”展示”と自身のウェブサイトへの”誘導”をイメージしているようですが、kawaharaサイトから発信された絵達が「自律的にウェブ上で伝播していく」というビジョンのほうが今っぽいかな。作者と何らかの手段で紐づけられていさえすれば、どこに掲載されていても構わないわけです。上記、鈴木さんへのコメントで書いたツバルの画像アーカイブ(Picasa)がまさにそうです。さらにクリエイティブコモンズにして、他者による絵の編集を可能にしてもいいのかも(このへんは僕自身の好みが出てしまいますが)。

ストーリーと絵を定期的にアップして、閲覧者からのフィードバックを次回作に反映させる・・・ということもできそうです。少々古い事例ですが、筒井康隆の「朝のガスパール」はパソコン通信のネットワークを活用して、読者たちと喧々諤々の議論を展開しながら書かれた連載小説です。もちろんフィードバックを得るためには、先にある程度ファンを獲得する必要がありますが、今ならpixivやらtwitterやら、場所に事欠くことはないでしょう。

「絵」と「活動」が同梱された、新しいコンセプトアーティストkawaharaの姿を世界に示すことができれば、卒業制作として成功ではないでしょうか。PhotoshopやPainterで絵を鍛えつつ、2009年のネットを活かしたオリジナリティのある活動を展開していってください。

5.倉谷直美


倉谷さんは「自然とコラボレートしたエコロジカルな新しい広告媒体」をテーマにして着々と制作活動を進行中です。また、メディアとしてのブログの活用度はスタジオ内の(少なくとも現時点で)最上位です。読んでいてわくわくします。まだ先は長いですから、息切れしないようにペースをつくっていってください。

上記、ミステリーサークル処女作の画像を引用したGoogle Mapsアイコンについて、まさにご本家Googleによるこんな広告が実際に行われました(知ってたかな?)。デスクトップのアイコンが実際の街に聳え立つ。これは、デジタル地図やデジタル地球儀が実世界に重なり合ってきたこの時代だからこそ説得力を持つ広告手法です。折りしもiPhone対応のセカイカメラもリリースされました。今後、ウェブ上の情報が急速に実世界に重層されていくはずです。

さて、倉谷さんのプロジェクトはあくまで実世界の草地上で広告表現を行うものですが、どの場所にどんな情報を「広告」として刻むべきか、あるいはどんな制作手法を取るべきか、どういった人々とコラボレーションするべきか、etc.の検討に、情報空間とデジタルツールをフル活用しても良いはず。そういう意味で、ゼミで紹介した「東京ナス化計画」は素晴らしい先行事例です。実際の街路→(デジタル)地図→実際の街路、つまり実空間→情報空間→実空間、とGPS機器を携えて行き来するプロジェクト。幸い、wtnvスタジオにはツバルで大活躍したGPS機器が複数あります。まずは「良い草地(=メディア)を探すツアー」に持参してみるのも良いのでは?またそれと同時にデジタル地球儀(Google Earth)でも「良いメディア」を探してみる。時空間のなかで自分が歩いた軌跡を、事後的に俯瞰してみるといろいろと見えてくるものがあると思います。今後の展開が楽しみです。

6.茂木俊介



長い模索のあと「移動体におけるサウンドデザイン」をテーマに据えたのが茂木君です。ブログのリンク先がなぜか死んでしまっていますが、すでに多数の企業・研究者にアポイントメントを取りインタビューを開始しています。まずブログの使いかたとしては、そういった記録群をなるべく「速報的に」公開していくことが重要です。特に最近のwebはtwitterが隆盛してきていたり、Google Waveのようなサービスが現れてきたりと「即時性」「同時性」が重視される世界になってきています。僕自身、このこと自体には微妙な感情を持っていますが、とはいえ旧態を貫いて埋もれても仕方がないので、マメに更新することをお勧めします。

ここのところ茂木君の活動をみていて非常に「研究的」だ、という感をあらたにしています。前例を探し、新規性をどこに据えるか見出し、制作し、検証を行う。ただしい研究プロセスです。対するに、茂木君自身がオーボエ奏者でもあることを考えると、表現行為としての音づくりという面も備えています。これらは一見相矛盾するようでいて、最終的に「音そのものが説得力を持たねばならない」という意味で共通しています。上記、高田君のところで書いたことと通じますが「そうはいってもイイ音じゃなきゃ」ということですね。

また、移動体の音のデザインということで、このブログの背景にも1/32の確率で登場する小笠原紀行の件とつなげて欲しい。GPS端末はとても手軽なツールですから、制作過程あるいは完成した音の検証についても、ぜひ地図にプロットして公開するようにしてください。実際に鳴らした箇所に音ファイルそのものをプロットするとか、他人に持ってもらって、複数の軌跡を重ねてみるとか、そういう試行も良いと思います。今後の発展に期待しています。

(wtnv)

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「平成アーカイブ」:首都大,宮城大,慶應大,早稲田大による合同課題

「平成」が終わろうとしています。新しい元号は2018年夏に発表され,2019年より,新元号に載った歴史がはじまる予定です。みなさんが現在3年生だとしたら,大学を卒業する直前に,新しい元号に切り替わることになります。

「平成」は1989年1月8日からはじまりました。受講者のみなさんのこれまでの人生は,「平成」のタイムスパンにすっぽりと収まっています。「平成」のあいだに,17人の総理大臣が就任し,ベルリンの壁崩壊,バブル経済の崩壊,アメリカ同時多発テロ,湾岸戦争,世界金融危機,東日本大震災など,多くのできごとがありました。新元号に切り替わった瞬間に,こうしたできごとには「平成」というタグが付けられることになります。みなさんは,講師陣が「昭和生まれ」であるように,「平成生まれ」と呼ばれるようになるわけです。

さて,第二次世界大戦と太平洋戦争には「昭和」,関東大震災には「大正」,そして日露戦争には「明治」というタグがついています。しかし,これらのできごとは連続した時空間のなかで起きたものであり,歴史の深層において関連しています。過去のできごとは,みなさんが生きるこの瞬間と地続きであり,また,未来の世界にもつながっていきます。年号によるタグ付けは,こうした意識のなかのつながりを,ときに断ち切ることがあります。こうした断絶は,国境,人種の違いなどによってもたされるものと同質のものかもしれません。

メディアやプロダクトのデザイン,あるいはアートによって,こうした「断絶」を越え,過去と未来をつなぐ認識を生みだすことはできるか。トップに掲げた「AIによる自動色付け写真」や,渡邉英徳研究室で取り組んできたアーカイブズ・シリーズは,こうしたテーマに沿って制作されたものです。

今回の合同課題では,みなさんにも,このテーマに取り組んでもらいたいと思います。自由な発想にもとづく,新鮮な提案を期待しています。(渡邉英徳・石川初・中田千彦・物部寛太郎)

作品制作の指針

テーマは「平成アーカイブ」です。上記の課題文を踏まえ,朝日新聞フォトアーカイブの写真を活用して,メディア,プロダクト,アート作品を制作してください。作品制作には,以下のような対象に提案する想定で取り組んでください。
出版社,放送局・番組制作会社,広告代理店(クリエイティブ部門),インターネットサービス企業,デジタルサイネージ運営企業…

渡邉研 × ほぼ日:「ほぼ日のアースボール」コンテンツを共同研究・開発のお知らせ

首都大学東京 渡邉英徳研究室は,株式会社ほぼ日と共同で,AR 地球儀「ほぼ日のアースボール」をベースとしたマッピングコンテンツの研究・開発を進めてきました。

共同研究では「ほぼ日のアースボール」と,渡邉研がこれまでに研究・開発してきたジオビジュアライゼーション技術を組み合わせることにより,地球そのもの・人類の文化についての知識と,新鮮なユーザ体験を提供するARコンテンツの実現を目指しています。

このたび,その研究成果を元にした3つのARコンテンツを、「ほぼ日のアースボール」アプリ上で,2018年1月以降、順次公開していくことをお知らせいたします。

■でこぼこ地球(本日公開)
「ほぼ日のアースボール」上に、実際の100倍程度に強調した地形を立体的に表現。詳細画面では、標高8,000m超の山々が連なるヒマラヤ山脈や、厚さ3,000mもの氷に覆われた南極大陸などについて説明しています。ユーザは多様な「でこぼこ」を体感し、地形について知ることができます。


■昼夜の移り変わり(2月下旬公開予定)
太陽光によって、地上の昼と夜がどのように移り変わっていくのかを、アニメーションで表現しています。ユーザは春分・秋分、そして夏至・冬至と4つのモードを切り替えながら、「白夜」が生まれるメカニズムなど、地軸の傾きによって光が当たる場所がどのように異なるのかについて知ることができます。

■学生たちの「手作り人工衛星」(3月下旬公開予定)
大学宇宙工学コンソーシアム(UNISEC)に加盟する、大学・高専学生が開発した人工衛星のデータを網羅。約1日のあいだに描く軌道を、100倍速で再現します。日本の学生たちによる「手作り人工衛星」が、アースボールの周りを元気よく飛び回ります。各衛星の詳細なデータも表示されます。


■本研究開発の担当者
渡邉英徳准教授高田百合奈(特任助教)田村賢哉(リサーチアシスタント・博士後期課程3年)山浦徹也(博士前期課程1年)福井裕晋(博士前期課程1年)渡邉康太(学部4年)

アイドル,ドローン,ファッション...私たちの研究をつなぐもの 週報20170608

肌を触る風がほんのり冷たくなり始め,研究室から見える木々のゆったりとした揺らぎに癒されています。通学路のアジサイは満開で,梅雨の訪れが近づいていることを感じさせてくれます。  沖縄の新聞社を休職し,今年4月から大学院に通う私にとって,10年ぶりの東京はなにもかもが新鮮です。



 6月8日のゼミは,学部4年生,大学院,研究生の16人。論文を読んだり,近しい研究分野のアプリを使って分析をしたり…。1週間,それぞれが試行錯誤した足跡をまとめ,研究の内容や自分の考えを渡邉先生にぶつけていきます。  渡邉研究室の研究テーマは,SNS,ドローン,防災,自動販売機,ファッション,文化,アイドル,観光,地域,選挙など多岐にわたります。なぜ,これだけ幅広いテーマが一つの研究室に集まっているのでしょうか。


 実は,ゼミに身を投じると,バラバラにみえるテーマも,何かしら繋がっていることに気づきます。テーマだけに焦点を当てると抽象的でも,仲間の発表を聞き,議論するうちに,それぞれの研究の共通点が浮かび上がってくるのです。
 そして,自分の研究の新たな切り口を見つけるきっかけにもなります。"ネットワーク"という大切なキーワードでそれぞれの研究が繋がっていることを体感できる毎回4時間の学びは,まさに財産です。


 「最初からアイドルの研究しかないと思いました」。
 力強い声でこう説明したのは,4年の増田琴美さん(通称・こっとん)。

 今回のゼミのゲストで,ネットショップ作成サービス「BASE(ベイス)」のビジネスアナリスト酒澤和嗣さんから「なぜ,アイドルの研究なのか?」と質問を受けました。
 増田さんは,地下アイドルに興味関心を持ち,秋葉原に通い,アイドルに関わる文献を探して読み,インサイトを毎週発表しています。

週報180126 好評のほぼ日アースボールと佳境の論文

1月22日、東京は大雪。 日野キャンパスでも正午ごろから雪がパラパラ降り始め、30分ほどでキャンパスの色は真っ白に変わりました。 沖縄出身者としては、久しぶりの雪に心躍りながらも、雪で転ばないか不安がよぎりました。
案の定、お約束のように帰り道に転び、左の膝は青あざになっています。 残念です。 M1の與那覇です。




その日、外は記録的な寒さでしたが、渡邉研究室では、ホッとなニュースがありました。 雪が降り始める1時間前、ほぼ日さんと研究室のコラボコンテンツがリリースされました。 春ごろ、早野先生と古謝さんが研究室に来てくださり、半年かけて制作を進めてきたアースボールの第1弾です。 地球の地形を「強調」した「でこぼこ地球」。

ほぼ日のアースボールの新コンテンツ「でこぼこ地球」は、学生たちとの共同研究・開発により生まれたのでした。(コジャ)

首都大学東京渡邉英徳研究室とのARコンテンツ共同研究・開発のこと。https://t.co/7xEmHH41Ga#ほぼ日のアースボール#ほぼ日 — ほぼ日刊イトイ新聞 (@1101complus) 2018年1月22日とても好評で、みんな喜んでいます。


しかしながら、研究室は卒論・修論発表に向けてラストスパートの真っ最中です。 特に、大学院2年(M2)のメンバーの発表は来週に迫っています。 プレゼンテーションのためのスライド作成し、発表の練習が始まっています。

学部4年(B4)のみんなも、論文を書いたり、急ピッチで作品制作を進めています。 先生にスライドを見てもらいながら、中身を確認していきます。


ちなみにこの半年近く、論文を書くために

「目的・手法・検証・結論」

の四文を何度も練り直してきました。
博論や修論の場合は、各章ごとにこの「四文」が成立することが多いはず。その場合、各章の冒頭に、その章の「目的・手法・検証・結論」を述べておくと、読者(審査員)の頭に入りやすいです。 — 渡邉英徳 (@hwtnv) 2017年12月7日
自分の研究をそれぞれ、端的に言い表さなければなりません。

【特別編】広島で始まったカラー化の取り組み 週報171123

東京では紅葉が見ごろを迎えています。  銀杏並木の葉は、黄緑色から黄色に向かう最中で、グラデーションが秋を形作っています。風がそよぐと落ち葉はフワッと舞い、歩けばカサカサした音が聞こえてきます。  沖縄では体験できない秋を堪能しています。  M1の與那覇です。

 そんな季節に広島に研究調査に行く機会を得ました。




 目的は、広島女学院の高校生たちが始めた戦前・戦中の写真をカラー化する取り組みを調べるためです。11月上旬に首都大でのワークショップに参加した一人、Nさんが渡邉先生の色付け技術を学び、スタートさせていました。


 カラー化をしている白黒写真は、濱井徳三さん(83)が保管していた戦前、戦後の家族の写真です。濱井さんのご家族は、原爆によって亡くなられ、濱井さんは「原爆孤児」となりましたが、写真には家族のピクニックの風景や濱井さんの自宅だった理髪店の様子などが残っています。

 実は、調査に行く前、Nさんとのメールのやり取りで、こんな一文がありました。

 「濱井さんの大切な形見の皿時計を見せて頂いたのですが、その皿時計が、店内を写した写真に写っていることが判明しました!!!」

 新聞記者の私としては、記者魂が疼きます。   色付けをするプロセスの中で、写真に写り込んでいる物が分かったこと、そしてその物が未だに残っているのは奇跡に近いことです。

 また、私の出身地である沖縄の戦争では、時計に関する住民の証言をほとんど読んだことがありませんでした。  直感的に、広島では時計は身近なものだったのかもしれないという仮説が立ち、広島の時計産業について調べ始めました。

 しかし、東京で資料を探してもたどり着きません。そこで、戦前から続いていると思われる時計店に一軒一軒電話。話をきいているうちに、少しずつ広島の時計産業の歴史の輪郭が浮かび上がってきました。




 1泊2日の短い出張の合間に唯一話を伺えたのが下村時計店です。原爆が投下された時、本店は爆心地から約620メートルにあり、建物が一部残りました。現在もその跡地に店を営んでおり、当時の市民にとって時計がどんな存在だったのか、記憶の限り伺えました。

 さて、肝心の実物の時計。平和記念資料館の協力を得て、約2万点の収蔵品が眠っている倉庫へ。濱井さんが寄贈した時計を見せてもらえることになりました。

号外 週報170905

こんにちは、B4の渡邉です。


夏休み?も後半に入りました。夏休みの前半はどうだったでしょうか。自分は徳島や新潟を訪問し、多くの人との繋がりを感じました。今までの人生でもっとも濃い夏休みです。
十分濃くなった夏休みも今回紹介するイベントでさらに濃さを増しました。それも大幅に。


ワークショップ

今回の舞台はほぼ日さんのオフィスです。外苑前駅から徒歩5分のビルの上層階にあります。オフィスのエントランスに着いただけで研究室メンバーのテンションは高まっていました。

4月のアイデアダンプから始まったプロジェクト。4月の時点ではスライドでプレゼンするのみでしたが、今回は学生一人ひとりがアイデアを形にしてプレゼンします。

プレゼンの準備をしていると、糸井重里さんが会場にいらっしゃいました。ただでさえ高まっていた研究室メンバーのテンションは最高潮に。



プレゼンは発表者を囲む形式で行われました。写真のように、制作物をタブレットを通してご覧いただきました。「おおー!」という歓声が聞こえたり、制作物へのコメントが聞こえたりと活気のある会場。充実で満たされていました。

印象的だったのは、糸井さんの鋭いコメントです。研究室メンバーが気にも留めていなかったことを新たな可能性として引き出してくれます。研究室メンバーもすっかり聞き入っていました。

アイデアを出すのが得意な人、デザインが得意な人、技術を扱うのが得意な人。
様々な人で私たちの研究室メンバーは構成されています。お互いに刺激を与え、スキルを組み合わせることで良いものを生み出すことができます。今回のプロジェクトでも研究室の強みを発揮していきたいです。





ちなみに研究室側で一番テンションが高かったのは渡邉先生です。

活動中の写真もいただいたコメントも掛け替えのない財産です。ほぼ日の皆様、本当にありがとうございました。次にお会いできる日を研究室一同楽しみにしています。



イベント後イベント後にオフィス見学をさせていただきました。 開放感があり、お洒落なオフィス。「ここで仕事ができたら最高」と思わずにはいられません。
下の写真ではオフィスの一室に飾られていたあるものをこぞって撮影しています。ヒントは糸井重里さんに馴染みのあるアニメ制作会社です。

その写真は研究室メンバーのスマホに宝物として取っておくことにします。


【号外 週報171022】アジア地域の防災リーダーたちと学んだウルルン滞在記

こんにちは!M1の福井です。10月に入って急に寒くなったり猛烈な台風がくるなど近年は私たちの想像をはるかに超える気候変動や災害が発生しています。今回、号外版ということで私が先日約2週間参加してきた防災教育育成プロジェクト「HANDs!プロジェクト2017」について書きます。

HANDs!プロジェクトって?HANDs!のプロジェクトとは、hope and dreamの頭文字をとったものである。アジア9ヵ国(フィリピン・インドネシア・タイ・インド・マレーシア・ミャンマー・ネパール・カンボジア・日本)から防災や環境に関して普段から取り組んでいる21~33歳までの合計26人(以下、フェロー)が、防災教育・環境問題・復興問題について考え、次の時代の"防災"を背負って立つ人を育成するプロジェクトである。 今回は、第1期としてフィリピン(5日間)と日本(5日間)を訪れ、フィリピン研修ではデザイン思考・システム思考などプロジェクトの立ち上げ方やプロトタイプの作成、日本研修では東日本大震災の被災地を訪れ、学校現場での防災教育のあり方や地域コミュニティの作り方などを学ぶ研修であった。第2期は、来年2月に行われるインドネシア研修(1週間)が行われる。参加するフェローたちは、この2回の研修を経て、アクションプランを作成し、来年1年間かけてアクションプランを実行するものとなっている。 中学生たちと共に学んでいったフィリピン研修 フィリピンの首都マニアから1時間以上車を走らせてついた先が、今回の研修地マキリン山。フィリピンは熱帯地域であり、降り立った時から、日本でいう6月の梅雨以上の湿気がありジメッとしたところで、1日に1回スコールといった短時間の激しい雨が降る。フィリピンは排水処理が整備されておらず、この雨によって浸水したり山の方では、土砂崩れが発生するなど災害の被害も多い地域である。 フィリピン研修では、主に「デザイン思考」「システム思考」「風・土・水の人」の作り方を学習し、フェローたちだけでなく、PHSA(フィリピン芸術学校)というデザイン・ダンス・文学などを専門に学ぶ中学2年生たちも一緒に参加し学んでいった。
それぞれの関係者を巻き込んでいく「風・土・水」の理論  風の人:新たなアイデアやイベントを運んでくる「種」を生むNPOなど  水の人:風が運んできた「種」を地域に…

10年の学生生活とその集大成

こんにちは。
ブログの書き方を忘れてしまったインダス2期生の高田百合奈です。

学生は、つい先日研究発表を終え、卒業生は、本日までの学内展や今後開催予定の学外展の準備で、慌ただしく活動しております。
この光景を毎年眺め、気付けば早いもので10年以上大学生活を送っていました。
研究室の在籍期間で言っても、もう8年目ですね。
そんな私は、去年の9月末に無事博士号を取得し、10年半の学生生活に終止符を打ちました。
現在は渡邉研究室の特任助教として在籍しております。
久々に研究室ブログを書くため、冒頭の挨拶でなんと名乗ろうか迷い、結局「2期生」という表現にしてみました。

本日は、学生生活の集大成と言える博士研究の報告と、振り返って思うところを少しばかり綴っていきたいと思います。

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さて、少し時期が遡りますが、去年の8月末に、
「道に迷う複合的要因からアプローチするナビゲーションシステムの研究」
というテーマで、博士研究の公聴会を開催しました。
お越し頂いた皆さま、ありがとうございました。
この研究テーマは、学部生の卒業研究から続いており、これまでに関わったプロジェクトも複数関連しているので、そう言った意味でも、学生生活の集大成と言えるものになりました。


*論文製本して、ちゃんとかっこよくなりました。
学部生時代に抱いた、

「地図という便利なツールがあるにも関わらず、なぜ道に迷ってしまう人(私)がいるのだろうか・・・」

という疑問から、「人はなぜ道に迷うのか」をテーマに研究を進め、今日に至ります。
自分の身の回りのことから生まれたテーマ、言わば、自分のための研究でした。
研究を進めるにつれ、心理学や建築学、脳科学など多岐に渡る分野と関連しているとわかり、それらの知見を繋ぐナビゲーション方法を考察し、開発まで行うことができました。


*開発したアプリの画面の一部。ユーザの方向感覚の診断結果によって、地図の表示パターンが変化します。
ここまでの研究成果は、博士研究という1つの形としてまとめ上げましたが、まだまだ実装したいこと、展望として構想していることが残っています。
これらを実現することを、今目に見える目標の1つとして掲げ、研究者としての一歩を踏み出したいと思います。

また、博士研究の中で、多分野に目を向けられたことや、渡邉研究室に所属して以来、数多くのプロジェクトに関わらせて頂いたこと…

外国人観光客に向けた東京の建築情報の視覚化 ―デジタルアースコンテンツの大画面ディスプレイ展示による観光支援―

こんにちは,修士2年の姜丹琦(キョウ ダンキ)です.

今日は自身の修士研究について紹介したいと思います.

自分は訪日外国人観光客に向けた東京の建築・歴史について知識を提供する観光支援ツールを提案しました.画像は実際の展示物です.


日本人が気づいていないかもしれませんが,実は東京には多様な年代・様式の建築が多数存在して,「建築博物館」のような状況になっています.江戸時代から近代までの長期に渡る建築を鑑賞できることは,東京という都市が備える希少価値といえます.外国人にとって東京の建築が非常に魅力的な観光資源です.
外国人観光客に新たな観光案内・体験を提供するため,「テーマ性」のある観光ルートの創出が重要だと考えます.そこで「建築」を観光のテーマとして設定します.さらに,ユーザの臨場感を高め,東京上空を飛び回っているような感覚を提供するために,大画面ディスプレイで建築のウェブコンテンツを展示します.

ほぼ日アースボールコンテンツ「昼夜の移り変わり」こぼれ話

ご無沙汰しております。修士1年の山浦徹也です。
約1年ぶりのブログ投稿です。


先週の3月2日、ほぼ日アースボールの共同研究コンテンツ第二弾「昼夜の移り変わり」がリリースとなりました。
自分がメインで担当していたこのコンテンツは、地球の昼と夜がどう変化していくのか、季節によってどんな違いがあるか、アニメーションによって表現したコンテンツです。
↓詳細は是非こちらでご覧になってください。(ほぼ日さん記事)
コンテンツ紹介_010「昼夜の移り変わり」編

およそ半年かけて、どのような方向性・内容にするか、ほぼ日さんとやり取りを通して、色々と揉んできました。そこで、今回はそういったこぼれ話的なことを、少しばかり書いていきたいと思います。

まず、はじまりのアイデアダンプで自分が制作したのは、10秒ほどで昼夜が一周切り替わるコンテンツでした。あっという間の10秒…。
糸井重里さんが口にしたのは「もったいないね、もっとじっくり見てみたい」の言葉でした。
それはまさしくその通りで、早すぎると切り替わりの動きを追うだけで終わってしまうのですよね。
細かいところまで見てもらうにはどうするか。
様々な時間で試した結果、良い塩梅に見られるのは1分程度であるという結論に落ち着きました。
そこからさらにどういった表現ができるか、模索していく段階でいろいろなアイデアを試しては、消えていきました。太陽にまつわる詩を一緒に流してみたり、夜空にオーロラを浮かべてみたり…。
紆余曲折を経て、最終的に、四季で異なる昼夜の切り替わりを表現するコンテンツに落ち着いたわけでございます。
ほぼ日さんの尽力もあり、本当に良いコンテンツをリリースすることができました。

色々と書いてきましたが、百聞は一見に如かずです。
是非、ダウンロードして、実際に見てください。
地上を離れて、ずっと大きな視点から、くるくると回る地球のメカニズムを楽しんでいただけたら幸いです。

先にリリースされた共同研究コンテンツ第一弾「でこぼこ地球」も合わせて楽しんでくださいね!