フレキシブルなデータモデルに基づくデジタルアーカイブ構築システムの開発

こんにちは、M2の井上洋希と申します。今回は私の修士研究を紹介させていただきます。

私の研究テーマは、「フレキシブルなデータモデルに基づくデジタルアーカイブ構築システムの開発」です。

デジタルアーカイブ構築システムの画面(※画面は開発中のものです)

最近、社会ではICT技術の発展と普及によって、国立機関、企業、自治体はもとより、個人や有志に至るまで、様々なデジタルアーカイブが制作されています。渡邉研でも、「ヒロシマ・アーカイブ」を初めとする、様々なデジタルアーカイブを制作しています。

ところが、従来のデジタルアーカイブは、専門家によってトップダウン的に制作され、デジタルアーカイブの「利用者」と「作り手」の間には大きな壁が存在しています。

それに、「メタデータ」というデータの構造を設計するなど、デジタルアーカイブの構築には様々な専門知識が必要で、専門知識を持たずにデジタルアーカイブを作ることは難しいという現状があります。

しかし、ヒロシマ・アーカイブがそうであるように、近年、市民の手によって自らデジタルアーカイブの制作に関わっていくことが増えています。もはや、デジタルアーカイブの「作り手」と「利用者」の違いが薄れてきつつあるのです。

そこで私は、専門知識を持たずとも、誰でもヒロシマ・アーカイブのような、デジタルアーカイブが作れるシステムを開発しています。それが、「フレキシブルなデータモデルに基づくデジタルアーカイブ構築システム」です。

「フレキシブルなデータモデル」というのは、いろんな形をした様々なデータを、どんどんアーカイブに保存することができるように、システムを設計しているということです。これによってユーザーは、保存したいデータの構造が途中で変わったり、新しく増えたりしても、アーカイブを作り直すことなく、そのままアーカイブに保存することができます

ありがたいことに、現在このプロジェクトは、日本やアメリカの、自治体・学校・企業・NPOなど、国内外の様々な方面で反響を頂いております。昨年には研究室初の大学発ベンチャーを研究室のメンバーと共に起業いたしました。今後はこうした事業に取り組んでいく所存です。


後輩の皆さんへ

渡邉研では3年間お世話になりました。私にとって渡邉研の日々は、今までの人生で一番濃密な3年間であったように思います。

渡邉研は、あまりにも多様でユニークな研究室です。

一人ひとり取り組んでいることが全く違い、分野も様々。

様々な企業や自治体と毎月のようにコラボがあり、さながらベンチャー企業のよう。

なのに研究室としてまとまっている。

それは「ネットワーク」という名前に象徴されるように、「人と人が繋がる」という普遍的な価値を大切にしているからなのかもしれません。

世界を探しても、なかなかこういった研究室は少ないかと思います。是非、後輩の皆さんには、この研究室の良いところをどんどん活かして、自分の成長に繋げていってほしいです!

皆様、3年間ありがとうございました…!🙏